要素別原価(材料費労務費経費

原価の三つの要素を、定義と計算の型から押さえていきましょう。

第1問で問われる要素別原価

内部分析では、第1問の語句問題13問中9問が材料費・労務費経費直接費/間接費の判定でした。仕訳1問も製造間接費を含むケースが多いです。

材料費

消費量×単価で求め、間接材料は製造間接費勘定に集めます。棚卸減耗や端数処理の語句もチェックしましょう。

労務費

作業時間×賃率で計算し、直接労務費と間接労務費の区別が頻出です。時間管理や割増賃金の扱いも問われます。

経費

減価償却費・電力費・外注加工費などが代表例です。材料費労務費以外の製造費全般と覚えておきましょう。

「日商簿記 原価計算初級試験 第1問 詳細分析レポート」をもとに整理しています。

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学習の目的

  • 要素別原価の定義を正しく説明できるようにします。
  • 各要素の基本計算(数量×単価、時間×賃率など)を再現します。
  • 直接費と間接費の切り分けの感覚を養います。
ここでのゴールは「迷わず分類できる」ことと「型通りに計算できる」ことです。

用語と定義

  • 材料費: 製品に投入した材料の消費額。例)直接材料費、間接材料費
  • 労務費: 製造に従事する人の賃金・給料など。例)直接労務費、間接労務費
  • 経費: 材料費労務費以外の製造関連費用。例)電力費、減価償却費、修繕費。
  • 直接費/間接費: 製品に直接ひも付くか(直接費)/共通で発生し便宜的に配賦するか(間接費)。

材料費の基本計算

  • 消費量 × 単価 = 材料費
  • 例)消費 120kg × 250円/kg = 30,000円
  • 間接材料は通常、製造間接費として処理します。
材料費の計算例 消費量120kgと単価250円/kgを掛け合わせて材料費30,000円を求める図 消費量 120kg 数量 × 単価 250円/kg 価格 = 30,000円

会話で理解する:数量×単価の型

ユイ: 材料費の図は、どこを見れば良いですか?

サクラ先生: まずは数量×単価の型を確認します。数量が決まる根拠(消費量)と、単価の決め方(実際/平均)をセットで意識しましょう。

ユイ: この後の労務費経費にもつながりますか?

サクラ先生: はい。労務費時間×賃率経費も多くは数量×単価で捉えます。まずは「型」を声に出して確認していきましょう。

ポイント:材料=数量×単価を安定化。仕訳は消費額を仕掛品/材料へ。

労務費経費の基本計算

  • 労務費: 作業時間 × 賃率(例)8時間 × 1,500円/時 = 12,000円
  • 経費: 電力 1,200kWh × 18円/kWh = 21,600円 など数量×単価で捉えると整理しやすいです。
  • 間接労務・間接経費製造間接費として集計し、配賦基準で各製品に配賦します。
詳細な配賦は次章「製造間接費と配賦基準」で見ていきます。

直接費と間接費の流れ

直接費と間接費の流れ 直接費は仕掛品へ、間接費は製造間接費へ集計後に配賦される流れ 直接費 間接費 仕掛品(WIP) 製造間接費 製品別に配賦

ミニまとめ

  • 直接費はそのまま製品に帰属。
  • 間接費はいったん集計して合理的に配賦。
  • 配賦の「基準」と「率」は次章で確実にマスター。

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学習のヒント

  • まずは定義と言い換えを押さえると迷いません。
  • 小さな数で自作の例題を作ると定着します。

チェックリスト

  1. 費目(材料・労務・経費)のいずれかに分類できる。
  2. 直接費と間接費の違いを説明できる。
  3. 数量×単価、時間×賃率のを再現できる。
迷ったときは「製品に直接ひも付くか?」の視点に立ち戻りましょう。

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よくある質問

直接費と間接費の判断に迷ったら?

製品と1対1で結び付くなら直接費、複数製品で共有するなら間接費です。まずは「どの製品のために発生した費用か」を声に出して確かめましょう。

材料副費や福利厚生費はどこに入りますか?

材料の購入付随費用は材料費、従業員の福利厚生費は労務費に含めるのが一般的です。語句と一緒に具体例をメモしておくと迷いません。

演習はどのように進めると効果的ですか?

インプット直後に第1問の演習へ進み、語句→計算の順で3周繰り返すと定着が早まります。間違えた語句は自分の言葉で言い換えて振り返りましょう。

対応する演習