製造間接費と配賦基準

共通に発生する費用を、合理的な基準で各製品へ割り振る考え方を学びます。

製造間接費とは

  • 材料費・労務費以外、または個々の製品に直接ひも付かない費用の総称です。
  • 例)間接材料費・間接労務費、電力費、減価償却費、修繕費 など。
  • 製品ごとの便益に対応する基準で配賦します(合理性がポイント)。

配賦基準の選び方

  • 直接労務時間(人手中心の工程)
  • 機械作業時間(機械中心の工程)
  • 直接材料費直接労務費(金額に比例させる場合)
  • 工程の実態に合い、測定が容易で、期間を通じて安定する基準を選びます。

予定配賦率の算定

  • 式:予定配賦率 = 予定製造間接費 ÷ 予定基準量
  • 例)予定製造間接費 600,000円、予定直接労務時間 3,000時間 → 200円/時
  • 各製品への配賦:予定配賦額 = 予定配賦率 × 実際基準量
予定配賦率の流れ 予定製造間接費を予定基準量で割って予定配賦率を求める手順の図 予定間接費 600,000 分子 ÷ 予定基準量 3,000h 分母 = 200円/時

差異の考え方(概念)

  • 期末に「配賦した額」と「実際に発生した額」の差が出ます。
  • 差がプラスなら過大配賦、マイナスなら過小配賦(概念を掴めば十分です)。
  • 簿記初級では差異の詳細処理は深追いせず、配賦の合理性を重視しましょう。
本講座では「配賦率の算定」と「配賦の流れ」を確実に再現できることを目標にします。

配賦のイメージ(例)

製造間接費の配賦例 予定配賦率200円/時で、Job A(40h)に8,000円、Job B(60h)に12,000円を配賦 予定配賦率 200円/時= 600,000 ÷ 3,000h Job A 40h → 8,000円 Job B 60h → 12,000円

覚え方のコツ

  • 配賦率は前もって作る(予定)。当月の実績基準で配賦。
  • 配賦の根拠(基準)を言えるようにしておくとブレません。
  • 差異は「配賦合計」と「実際発生」の差額です。

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