総合原価計算(平均法・先入先出)

等価完成品の考え方を軸に、1単位当たり原価の求め方と配賦の流れを整理します。

第3問で問われる総合原価計算

総合原価計算は、材料費・加工費等価完成品で割って単位原価を求める手順が中心です。平均法と先入先出法の違いを声に出して説明できるようにしましょう。

平均法

期首仕掛と当月投入をまとめて平均します。計算はシンプルですが、期首仕掛の差額が薄まる点に注意します。

先入先出法

期首仕掛を先に完成させてから当月投入分を計算します。等級別に数量を分ける整理が必要です。

配賦のゴール

完成品・月末仕掛品へ原価を配賦し、製品別損益計算に接続します。第3問ではこの配賦結果を表に埋める形で問われます。

「日商簿記 原価計算初級 第3問 詳細分析レポート」のケースをもとに整理しています。

平均法のステップを確認する

前提:等価完成品(EU)

平均法の流れ

  1. 材料EU・加工EUを求める。
  2. (期首+当月)コストの合計 ÷ EU = 1単位当たり原価。
  3. 完成品と月末仕掛に配賦する。
平均法は「期首仕掛を区別しない」のが特徴です。

EU 簡易表(例:加工)

等価完成品の簡易表(加工)
期首・当月・月末仕掛の数量と進捗から加工EUを求めます。
項目 数量 進捗 EU
期首仕掛(未完分) 100 30% 30
当月投入 500 100% 500
月末仕掛 150 40% 60

会話で理解する:EU表の最初の一歩

ユイ: 表のどこから読めば良いですか?

サクラ先生: 左から数量→進捗→EUの順に視線を動かします。平均法なら期首を区別せず、FIFOなら区別する、という違いも合わせて意識しましょう。

ユイ: 次の図とのつながりは?

サクラ先生: EUで整えたら合計コスト÷EU=単位原価、そして配賦の図へ。表と図を行き来すると理解が深まります。

ポイント:読み順=数量→進捗→EU→単位原価→配賦。

平均法とFIFOで「扱うコスト」と「EUの範囲」が異なる点に注意しましょう。

材料の扱い(例)

  • 材料の一括投入なら、材料EUは完成品+月末仕掛(100%)で計算。
  • 加工は進捗で変動(例:月末50% → EUは数量の50%)。

先入先出法(FIFO)の流れ

  1. まず期首仕掛を完成させるための追加EUを求める。
  2. 当月投入分のみのコスト ÷ 当月分のEU = 1単位当たり原価。
  3. 完成品(期首完成分+当月完成分)と月末仕掛に配賦する。
FIFOは「期首仕掛の未完部分」を明確に分けて計算します。

配賦イメージ(図)

総合原価計算の配賦イメージ 合計コストを等価完成品で割って1単位原価を求め、完成品と月末仕掛に配賦する図 合計コスト材料+加工 ÷ EU 1単位当たり原価材料・加工 完成品 月末仕掛

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学習のコツ

  • 材料と加工で進捗の扱いが違う設問に注意しましょう。
  • EU→1単位原価→配賦 の順序を崩さないこと。
  • 表は綺麗に整列させ、桁はそろえて計算ミスを防ぎます。

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関連用語(用語集)

よくある質問

等価完成品の求め方で注意する点は?

材料と加工で進捗率が異なるケースに注意します。表を材料・加工に分け、それぞれ進捗率を掛けて等価完成品を算出しましょう。

平均法と先入先出法の違いは?

平均法は期首仕掛と当月投入をまとめて平均し、先入先出法は期首仕掛を先に完成させます。違いを図にすると覚えやすくなります。

仕訳を覚える必要はありますか?

配賦後の完成品振替と月末仕掛の残高を仕訳で確認すると、損益計算とのつながりが理解しやすくなります。

対応する演習