個別原価計算の流れ

ジョブ(受注・製番)ごとに原価を集計し、仕掛品→製品→売上原価へつないでいきます。

第3問で押さえるべきポイント

第3問では個別原価計算書を完成させる設問が出題され、直接費の集計と予定配賦率による間接費の配賦が軸になります。

ジョブ別原価計算書

直接材料費・直接労務費・配賦間接費をジョブごとに集め、完成原価と単位原価を求めます。

仕掛品の振替

完成したジョブは製品に振り替え、販売した分のみ売上原価へ振り替えます。未完成分は仕掛品として残ります。

配賦差異の扱い

試験では差異の詳細処理は問われませんが、予定配賦額と実際発生額の差を説明できるようにしておきましょう。

「日商簿記 原価計算初級 第3問 詳細分析レポート」の事例をもとに要点を抜粋しています。

ジョブ別原価計算書を詳しく見る

何を学ぶか

  • ジョブ別原価計算書(Job Cost Sheet)の見方。
  • 直接材料費・直接労務費・配賦された製造間接費の集計。
  • 仕掛品(WIP)から製品(FG)・売上原価(COGS)への流れ。
式はシンプル:原価 = 直接材料 + 直接労務 + 配賦間接費

全体の流れ(図)

個別原価計算の流れ 直接材料・直接労務・製造間接費が仕掛品に集計される流れの図 直接材料消費 直接労務賃率×時間 製造間接費予定配賦 仕掛品WIP
仕掛品に集計された原価は、完成時に製品へ、販売時に売上原価へ振替えます。

会話で理解する:3要素→仕掛品

ユイ: 図の3つの箱は何を表していますか?

サクラ先生: 直接材料直接労務製造間接費です。これらが仕掛品に集まって、完成で製品、販売で売上原価へ流れます。

ユイ: 試験では何から手を付ければ?

サクラ先生: まず式を言い切りましょう。原価=材料+労務+配賦間接費。図を指でなぞって声に出すのがコツです。

ポイント:3要素→仕掛→製品→売上原価

関連用語(用語集)

補足のヒント

  • 用語は定義→使いどころの順で声に出して確認。
  • ジョブ別の集計は、材料・労務・配賦間接費を箱で描くと迷いません。

ジョブ別原価計算書(構成)

  • ジョブ番号/顧客名/期間
  • 直接材料の投入(払出伝票)
  • 直接労務の投入(作業時間×賃率)
  • 製造間接費の配賦(予定配賦率×実際基準量)
  • 合計原価・単位原価(完成数量で割る)

よくあるつまずき

  • 材料の「購入」と「消費」を混同しない(消費額を使います)。
  • 間接費は「予定」で配賦する点に注意(期末に差異が出ます)。
  • 単位原価の分母は完成数量(仕掛数量ではありません)。

Job Cost Sheet(例)

ジョブ別原価計算書の例
直接材料・直接労務・製造間接費を合計し、完成数量から単位原価を求めます。
項目 金額(円)
直接材料 40,000
直接労務 25,000
製造間接費 18,000
合計原価 83,000
完成数量 100
単位原価 830

ポイント

  • 間接費は予定配賦額を記入(実際額ではない)。
  • 単位原価=合計原価÷完成数量。仕掛は含めません。
  • 伝票・タイムカードと対応づけて考えると整理しやすいです。

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学習のヒント

  • 仕訳→仕掛品→シートの対応関係を意識して手を動かす。

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よくある質問

ジョブ・コストシートで必ず記入する項目は?

直接材料費・直接労務費・配賦間接費・完成原価・単位原価です。空欄が多い場合は「原価 = DM + DL + OH」を先に書き出しましょう。

仕掛品と製品の振替順序が混乱します

完成時に仕掛品から製品へ、販売時に製品から売上原価へ振り替えます。仕訳で流れを確認すると理解が深まります。

演習はどう進めると効率的ですか?

1ジョブのみの練習と複数ジョブを扱う練習を交互に行いましょう。配賦率を最初にメモすると計算が安定します。

対応する演習