製品別期間損益計算(第3問対策)

製造原価明細から製品別の損益計算書まで、第3問の3列表を一気通貫で作れるようにします。

この単元で身につくこと

まずイメージ:第3問は「2枚の表」を順番に埋める

第3問は32点と、試験の中でいちばん配点が大きい問題です。形式は毎回ほぼ同じで、製造原価の明細製品別損益計算書という2枚の表の空欄を埋めます。どちらの表も、列は製品X・製品Y・合計の3列です。1枚目で「作るのにいくらかかったか」を費目別×製品別に集計し、その合計から平均単価を求め、2枚目で「売れた分」と対応させて利益を出します。1枚目の製造費用合計 → 平均単価 → 2枚目の売上原価という一本道を最初に頭に入れると、どの空欄から埋めればよいか迷いません。

確認:解く順番は「1枚目を上から下へ → 平均単価 → 2枚目を上から下へ」。この単元では、この順番どおりに各行の計算を身につけます。

1枚目:製造原価の明細——3つの費目を製品別に集計する

製造原価の明細は、直接材料費・直接労務費・製造間接費・製造費用合計の4行を、製品X・製品Y・合計の3列で埋めます。各費目の計算は、これまでの単元で学んだ「量×単価」の型そのままです。なお、第3問では月末仕掛品がない前提のため、この製造費用合計は「製造原価総額」(単元06で平均単価の分母にした金額)と一致します。

製造原価の明細の行と求め方
行(費目)求め方
直接材料費消費単価 × 各製品の消費数量
直接労務費賃率 × 各製品の直接作業時間
製造間接費配賦率 × 各製品の直接作業時間(全社共通の1本の率)
製造費用合計上の3行の縦計(列ごとに合計)

ポイントは製造間接費です。「製造間接費と配賦」で学んだ配賦率が、ここでは全社共通の1本だけ与えられ、各製品の直接作業時間に掛けて割り当てます。製品ごとに違う率を使ったり、材料の消費数量に掛けたりしないよう注意しましょう。

確認:3費目とも「単価(率)×量」。掛ける相手は、材料費だけが消費数量で、労務費と間接費は直接作業時間です。

橋渡し:生産量≠販売量——平均単価で売上原価と在庫に分ける

1枚目と2枚目のあいだには、大事な橋が1本あります。当月作った量(生産量)売れた量(販売量)は、ふつう一致しません。製造費用合計は作った分全部の原価なので、そのまま売上原価にはできません。そこで「製品別の原価集計(個別・総合)」で学んだ平均単価=製造費用合計÷生産数量を使い、売れた分だけを売上原価へ、残った分を月末製品へ分けます。

売上原価=平均単価×販売数量月末製品=平均単価×在庫数量(生産量−販売量)です。2つを足すと製造費用合計に戻るので、検算にも使えます。

確認:第3問の資料に「生産量」と「販売量」が別々に載っていたら、この按分が問われている合図です。平均単価をワンクッションはさみましょう。

2枚目:製品別損益計算書——販管費は全社計のまま引く

製品別損益計算書は、売上高・売上原価・売上総利益・販売費及び一般管理費・営業利益の5行です。売上高は販売単価×販売数量、売上原価は先ほどの平均単価×販売数量、売上総利益は売上高−売上原価と、ここまでは製品X・製品Yの列ごとに計算できます(「損益計算の基本」の2段階の利益です)。

最後の2行だけ扱いが変わります。販売費及び一般管理費は製品別に分けず、全社計として合計欄にだけ記入します。したがって営業利益も合計欄だけで、売上総利益の合計から販管費(全社計)を差し引いて求めます。製品X・製品Yの列は空欄(—)のままです。

確認:売上総利益までは3列すべて、販管費と営業利益は合計欄だけ。この「段差」が第3問の形式上の特徴です。

ユイ先生、作った数と売れた数が違うときは、どうしたらいいですか?

サクラ先生製造費用合計をいったん生産数量で割って、1個あたりの平均単価を出します。売れた数に掛けた分だけが売上原価、残った数に掛けた分が月末製品です。

ユイ作った分の原価を、全部売上原価にしてはいけないんですね。

サクラ先生はい。売上高は売れた分だけの金額なので、原価も売れた分だけを対応させます。売上原価と月末製品を足して製造費用合計に戻れば、計算は合っています。

例題で型をつかむ

例題1(通し:製造原価の明細から製品別損益計算書まで)

次の資料から、製造原価の明細と製品別損益計算書を完成させなさい。月初に仕掛品・製品はなく、当月の生産はすべて完成した。【資料】直接材料費:消費単価400円/個、消費数量は製品X 500個・製品Y 700個。直接労務費:賃率1,000円/時、直接作業時間は製品X 150時間・製品Y 100時間。製造間接費:配賦率800円/時(直接作業時間基準)。生産量:X 1,000個・Y 2,000個。販売量:X 800個・Y 1,800個。販売単価:X 700円・Y 400円。販売費及び一般管理費(全社計):350,000円。

  1. 費目を集計する:直接材料費はX 400円×500個=200,000円・Y 400円×700個=280,000円。直接労務費はX 1,000円×150時間=150,000円・Y 1,000円×100時間=100,000円。製造間接費はX 800円×150時間=120,000円・Y 800円×100時間=80,000円です。
  2. 製造費用合計を出す:X 470,000円・Y 460,000円・合計930,000円。
  3. 平均単価を出す:X 470,000円÷1,000個=470円、Y 460,000円÷2,000個=230円。
  4. 売上原価と月末製品に分ける:売上原価はX 470円×800個=376,000円・Y 230円×1,800個=414,000円。月末製品はX 470円×200個=94,000円・Y 230円×200個=46,000円です。
  5. 損益計算書を仕上げる:売上高はX 700円×800個=560,000円・Y 400円×1,800個=720,000円。売上総利益はX 184,000円・Y 306,000円・合計490,000円。販管費350,000円は合計欄のみに記入し、営業利益は490,000−350,000=140,000円です。
例題1の答え:製造原価の明細(単位:円)
費目製品X製品Y合計
直接材料費200,000280,000480,000
直接労務費150,000100,000250,000
製造間接費120,00080,000200,000
製造費用合計470,000460,000930,000
例題1の答え:製品別損益計算書(単位:円)
項目製品X製品Y合計
売上高560,000720,0001,280,000
売上原価376,000414,000790,000
売上総利益184,000306,000490,000
販売費及び一般管理費(全社計)(全社計)350,000
営業利益140,000

ここで迷ったら:手順は「明細を上から下へ→平均単価→損益計算書を上から下へ」の一方通行です。売上原価の欄に製造費用合計(470,000円・460,000円)をそのまま書いてしまったら、按分を忘れた合図です。

例題2(按分だけを取り出して練習する)

ある製品の当月の製造費用合計は520,000円、生産量は1,300個、販売量は1,100個であった。売上原価と月末製品の原価を求めなさい(月初に製品はなかった)。

  1. 平均単価を出す:520,000円÷1,300個=400円/個です。
  2. 売上原価を求める:400円×1,100個=440,000円。
  3. 月末製品を求める:残りは1,300−1,100=200個なので、400円×200個=80,000円です。
  4. 検算する:440,000+80,000=520,000円で、製造費用合計に戻ります。

ここで迷ったら:割る数は生産量(1,300個)、掛ける数は販売量(1,100個)と在庫数量(200個)です。「割るのは作った数、掛けるのは売れた数と残った数」と唱えましょう。

よくあるミス

製造費用合計をそのまま売上原価にする作った分と売れた分の区別を忘れるミスです。売上高が販売量ベースなのに、原価だけ生産量ベースでは対応が取れません。生産量と販売量が違うときは、必ず平均単価×販売数量で売上原価を求め、残りを月末製品に回します。
販売費及び一般管理費を製品別に按分してしまう販管費を売上高の比率などでX・Yに割り振ってしまうミスです。第3問の様式では、販管費は全社計のまま合計欄にだけ記入し、営業利益も合計欄だけで計算します。製品別の欄を埋めようとしたら形式を思い出しましょう。
製造間接費の配賦で掛ける量を間違える配賦率を材料の消費数量や生産量に掛けてしまうミスです。第3問の配賦基準は直接作業時間で、全社共通の1本の率×各製品の直接作業時間です。労務費と同じ「時間」を掛ける、と覚えておくと混同を防げます。

ミニ演習(5問・即時採点)

Q1. 製造原価の明細で、製造間接費を各製品へ割り当てる計算はどれですか?(答えを見る)

全社共通の配賦率×各製品の直接作業時間です。率は1本だけ与えられ、掛ける量は直接作業時間です。

Q2. 製造費用合計460,000円・生産量2,000個のとき、平均単価はいくらですか?(答えを見る)

460,000円÷2,000個=230円/個です。平均単価の分母は生産数量です。

Q3. 平均単価470円/個・生産量1,000個・販売量800個のとき、売上原価はいくらですか?(答えを見る)

470円×800個=376,000円です。売れた分だけが売上原価で、残り200個×470円=94,000円は月末製品になります。

Q4. 製品別損益計算書で、販売費及び一般管理費はどのように記入しますか?(答えを見る)

製品別に分けず、全社計として合計欄にだけ記入します。営業利益も合計欄だけで計算します。

Q5. 売上総利益の求め方として正しいものはどれですか?(答えを見る)

売上高−売上原価です。そこからさらに販管費(全社計)を引くと営業利益になります。

第3問は、製造原価の明細(直接材料費・直接労務費・製造間接費・製造費用合計)と製品別損益計算書(売上高・売上原価・売上総利益・販売費及び一般管理費・営業利益)の2枚を、製品X・製品Y・合計の3列で埋めます。製造費用合計÷生産数量=平均単価を橋にして、売れた分だけを売上原価へ、残りを月末製品へ分けます。販管費は全社計のまま引いて営業利益を出します。

対応する演習