原価集計と在庫原価

製品へ直接結び付く費用と、配賦する間接費を集計し、月末仕掛品・月末製品・売上原価へつなげます。

この単元で身につくこと

まずイメージ:集める、残す、売れた分を費用にする

製品別の原価は、直接材料費・直接労務費などをその製品へ直課し、共通して発生した製造間接費を配賦して集計します。作りかけは月末仕掛品、完成して未販売のものは月末製品として残し、販売した分だけを売上原価にします。

原価を集計して損益計算へつなぐ順序
段階確認すること結果
1. 集計直接費を直課し、間接費を配賦する製品別の製造費用
2. 完成完成分と作りかけを分ける完成品原価と月末仕掛品原価
3. 販売完成品を販売分と未販売分に分ける売上原価と月末製品原価

表の読み方:原価は、集計した時点ですべて費用になるわけではありません。作りかけと未販売分は在庫として残ります。

製品別に原価を集計する

特定の製品に直接結び付く費用は、その製品へ直課します。複数の製品に共通する製造間接費は、問題文で示された配賦率と配賦基準を使って配ります。

製造間接費の配賦額 = 問題文で与えられた配賦率 × 製品ごとの基準量

たとえば、配賦率が1,500円/時間、製品Xの直接作業時間が240時間なら、製品Xへの配賦額は1,500円×240時間=360,000円です。ここでは率を作り直さず、与えられた率と基準量の単位をそろえて掛けます。

月末仕掛品・月末製品の原価を求める

月末仕掛品は、まだ完成していない製品に残る原価です。設問に期首仕掛品、当月製造費用、完成品原価が示される場合は、次の関係で不足額を求めます。

月末仕掛品原価 = 期首仕掛品原価 + 当月製造費用 − 完成品原価

月末製品は、完成したものの未販売の製品に残る原価です。製品の単価が与えられる、または完成品原価と生産量から単価を求められる場合は、未販売数量を掛けて計算します。

月末製品原価 = 製品1個あたりの原価 ×(生産量 − 販売量)

設問の資料と指示を優先します。進捗度を使う完成品換算量や、個別原価計算・総合原価計算という原価計算形態の区別は、原価計算初級の出題範囲では扱いません。

例題で型をつかむ

例題1(製造間接費を製品別に配賦する)

配賦率は1,200円/時間、直接作業時間は製品Aが200時間、製品Bが300時間です。各製品への配賦額を求めなさい。

  1. 製品A:1,200円×200時間=240,000円。
  2. 製品B:1,200円×300時間=360,000円。
  3. 合計:240,000円+360,000円=600,000円。

ここで迷ったら:率の単位が「円/時間」なら、掛ける基準量も「時間」です。

例題2(月末製品と売上原価を分ける)

完成品1,600個の原価は720,000円で、1,450個を販売しました。月末製品原価と売上原価を求めなさい。

  1. 1個あたりの原価:720,000円÷1,600個=450円/個。
  2. 月末数量:1,600個−1,450個=150個。
  3. 月末製品原価:450円×150個=67,500円。
  4. 売上原価:450円×1,450個=652,500円。

検算は「売上原価+月末製品原価=完成品原価」です。

よくあるミス

配賦率と基準量の単位を確認しない円/時間には時間、円/個には個数を掛けます。
生産量と販売量を取り違える単価は生産量、売上原価は販売量、月末製品は生産量と販売量の差を使います。
未販売分まで売上原価にする未販売分は月末製品として残し、売れた分だけを売上原価にします。

ミニ演習(4問・即時採点)

Q1. 特定製品に直接結び付く費用はどう集計しますか?(答えを見る)

その製品へ直課します。共通の間接費は配賦します。

Q2. 配賦率1,500円/時間、基準量40時間の配賦額はいくらですか?(答えを見る)

1,500円×40時間=60,000円です。

Q3. 生産100個、販売80個なら月末製品は何個ですか?(答えを見る)

100個−80個=20個です。

Q4. 完成していない製品に残る原価を何といいますか?(答えを見る)

月末仕掛品原価です。

直接費は製品へ直課し、間接費は与えられた配賦率と基準量で配賦します。完成していない分は月末仕掛品、完成して未販売の分は月末製品として残し、販売した分を売上原価にします。次の単元では、この流れを製品別損益計算書へつなげます。

対応する演習