全部原価計算(吸収原価)と直接原価計算

固定費を製品原価に含めるか(吸収)/期間費用とするか(直接)の違いを押さえていきましょう。

違いを表で整理

吸収原価 vs 直接原価(要点)
項目全部原価計算(吸収原価)直接原価計算
製品原価の範囲固定費・変動費すべて含む変動費のみ(固定費は期間原価)
利益の出方在庫増で利益が高くなりやすい在庫影響を受けにくい(固定費は当期費用)
用途財務会計(外部報告)管理会計(短期利益計画、CVP)

両者の営業利益差は「固定費調整額」で説明できます(在庫に含まれる固定製造費の増減)。

関連用語

対話で理解しよう — 財務報告と意思決定の二刀流

現場エピソード:売価1,000円、変動製造原価600円、固定製造間接費200,000円/月。当月1,200個生産・1,000個販売(在庫+200)。予定の固定配賦は200円/個とします。

ハル:「吸収原価では固定費200円/個が原価に含まれ、売上原価は(600+200)×1,000=800,000円。未販売200個分40,000円の固定費が在庫に繰り延べ。直接原価では固定費200,000円期間費用で処理するので、利益は40,000円小さく見えます」

椿先生:「その通り。外部報告は吸収原価、短期意思決定は直接原価(+限界利益)が有用。在庫増減による利益の見え方の違いを把握しましょう。」

定義・判断の物差し

  1. 今月の在庫増減が利益に与える影響を、吸収・直接それぞれで一言で説明しましょう。
  2. 値下げキャンペーンの採否判断では、どちらの原価観が有効ですか?理由も。
  3. 管理会計で両方を使い分ける運用ルール(週:直接/月:吸収 など)を1つ提案しましょう。

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