意思決定の基礎(差額原価・関連原価)
意思決定では、選択によって将来増減する差額原価・関連原価だけを比較します。過去に発生し取り戻せない埋没原価は、比較から除きます。追加受注や自製・外注の判断は、この考え方にもとづいて行います。
基本情報
| 分類 | 差額原価・差額収益・関連原価・埋没原価の区分 |
|---|---|
| 何を表すか | 意思決定で比較すべき原価・収益(選択によって将来増減するかどうかで判定する) |
| 計算式(求め方) | 差額利益=差額収益−差額原価(増える収益と増える原価だけを比較する) |
| 使う場面 | 追加受注の可否、自製か外注かの判断など、複数の案を比較する場面 |
| 試験での問われ方 | 資料から関連原価・埋没原価を選別させ、差額利益を計算して可否を判定させる出題 |
計算式・具体例
通常販売価格1,000円・1個あたり変動費700円の製品に、単価900円・2,000個の追加注文が来た場面です(生産ラインに余力があり、既存の販売と固定費には影響しません)。
| 求めるもの | 式 | 数値例 |
|---|---|---|
| 差額利益(追加固定費なし) | (追加受注の単価−変動費)×数量 | (900−700)×2,000=400,000円(受注有利) |
| 差額利益(追加固定費あり) | 上記−追加固定費 | 400,000−300,000=100,000円(受注有利) |
この比較は「増える売上−増える原価」だけで行います。通常価格1,000円や、固定費込みの単位原価とは比べません。埋没原価や、どの案でも変わらない共通固定費は、比較にそもそも入れません。
混同しやすい語との違い
- 全部原価計算(吸収原価)と直接原価計算との違い:全部原価計算・直接原価計算は原価計算の方法の対比、本語はその先の意思決定でどの原価を比べるかという選び方です。
- 限界利益(貢献利益)との違い:貢献利益は日々の販売価格・数量の判断に使う利益概念、本語はより幅広い選択(自製・外注など)を比べるときの原価の選び方です。
- 機会原価(最善の代替案を選べないことによる損失)を使った分析は1級の範囲です。2級では、差額原価・関連原価・埋没原価の区別まで押さえます。
試験でのよく問われ方
- 資料から関連原価・埋没原価を選別させ、差額利益を計算して受注の可否を判定させる出題。
- 業務的な意思決定を体系的に学ぶ差額原価収益分析は、1級の範囲です。
ミニ演習(3問・即時採点)
Q1. 通常価格1,000円・変動費700円の製品に、単価900円・2,000個の追加注文が来ました(余力があり既存の販売に影響しません)。差額利益はいくらですか?(答えを見る)
400,000円の受注有利です。(900−700)×2,000=400,000円で、増える売上が増える変動費を上回ります。
Q2. 上記の注文のために、追加の固定費300,000円(検査員の臨時雇用)が発生する場合、差額利益はどう変わりますか?(答えを見る)
100,000円(受注有利のまま)です。400,000−300,000=100,000円で、追加固定費を引いてもプラスなので受注が有利です。
Q3. 意思決定の比較から除くべき原価はどれですか?(答えを見る)
過去に支払った設備の取得原価(埋没原価)です。どの案を選んでも変わらないため、比較材料になりません。
関連
- ガイドで学ぶ:直接原価計算と意思決定
- 関連する用語:限界利益(貢献利益)/固定費と変動費の違いとは?/全部原価計算(吸収原価)と直接原価計算
- 解いて定着:ミニ問題(意思決定の基本)