未実現利益の消去(棚卸資産・土地)

未実現利益の消去は、連結会社間の取引で生じた利益のうち、期末時点でまだ集団の外部へ売れずに残っているもの(未実現利益)を、連結財務諸表を作るときに取り除く成果連結の手続きです。対象は棚卸資産と土地で、親会社から子会社への販売(ダウンストリーム)と、子会社から親会社への販売(アップストリーム)の両方で行います。ダウンストリームは親会社が全額を負担し、アップストリームは非支配株主にも持分割合に応じて負担させます。

基本情報

未実現利益の消去(棚卸資産・土地)の分類と使いどころ
分類成果連結で行う連結修正仕訳(連結会社間取引の未実現利益の取り消し)
増えるとき借方に売上原価(棚卸資産)や固定資産売却益(土地)を計上して、集団内に残る未実現利益を取り消すとき
減るとき貸方に商品(棚卸資産)や土地を減額し、資産に含まれる未実現の利益を取り除くとき
代表的な相手科目売上原価・商品(棚卸資産)/固定資産売却益・土地(土地)/非支配株主持分・非支配株主に帰属する当期純利益(アップストリームの按分)
試験での問われ方期末在庫や保有中の土地に含まれる未実現利益を計算し、ダウンストリーム・アップストリームを判定して消去仕訳(非支配株主への按分の要否を含む)を書かせる出題

仕訳例

P社がS社へ商品を販売し、S社の期末在庫にP社が付けた未実現利益60,000×売上総利益率20%=12,000円が含まれる場面(ダウンストリーム)と、その按分・土地の消去をあわせて示します。

未実現利益の消去仕訳(棚卸資産・土地)
消去借方科目借方金額貸方科目貸方金額
棚卸資産(ダウンストリーム)売上原価12,000商品12,000
棚卸資産(アップストリームの非支配株主按分)非支配株主持分4,000非支配株主に帰属する当期純利益4,000
土地(ダウンストリーム)固定資産売却益50,000土地50,000

確認:ダウンストリーム(親→子)は、期末在庫60,000円×売上総利益率20%=12,000円を(借)売上原価/(貸)商品で全額消去し、親会社が全額を負担します。アップストリーム(子→親)は、まず同じ形で全額を消去したうえで、消去額×非支配株主の持分割合分を(借)非支配株主持分/(貸)非支配株主に帰属する当期純利益で追加し、非支配株主にも負担させます。土地も同じ考え方で、集団内でまだ外部に売っていない売却益(例:帳簿価額100,000円の土地を150,000円で売却した場合の売却益50,000円)を(借)固定資産売却益/(貸)土地で消去します。2級の未実現利益の消去は、棚卸資産と土地の2つを押さえれば十分です。

混同しやすい語との違い

試験でのよく問われ方

ミニ演習(3問・即時採点)

Q1. 親会社が子会社へ販売した商品が子会社の期末在庫に残り、未実現利益が12,000円ある(ダウンストリーム)。連結上の消去仕訳はどれですか?(答えを見る)

期末在庫に含まれる未実現利益は(借)売上原価/(貸)商品で消去します。ダウンストリームなので親会社が全額を負担し、非支配株主への按分は行いません。

Q2. 子会社から親会社へ販売した商品の未実現利益20,000円を消去したあと、非支配株主の持分割合20%分を按分する仕訳はどれですか?(答えを見る)

アップストリームでは、消去した未実現利益20,000×非支配株主の持分割合20%=4,000円を、(借)非支配株主持分/(貸)非支配株主に帰属する当期純利益で按分します。

Q3. 本支店会計の内部利益と、連結会計の未実現利益の消去の違いはどれですか?(答えを見る)

内部利益は本店・支店間(同一企業内)の振替に生じる利益で処理は1級、未実現利益の消去は親会社・子会社間の取引が対象で2級の出題範囲です。