固定資産と減価償却

取得から除売却までの流れと、資本的/収益的支出の区分を整理していきます。

この章のゴール

  • 取得・減価償却・除売却の仕訳ができる
  • 資本的/収益的支出の区分を説明できる
  • 表示と注記のポイントを把握する

学ぶ順番

  1. 取得時の原価の範囲
  2. 減価償却(定額法の基礎)
  3. 除売却の処理と表示

耐用年数・残存価額の確認ポイント

境界事例の考え方

判断は「機能向上・使用可能期間の延長」の有無と金額の重要性で行います。

期中取得の月割・端数処理

次の一歩

理解を確認するには、ドリルC(引当金・固定資産)へ。

資本的支出収益的支出

固定資産に支出が生じたとき、その効果が将来に及ぶ改良・機能向上なら資本的支出(資産計上)、維持・修繕なら収益的支出(費用)と判断します。

資本的支出収益的支出の判定早見表
事例区分会計処理(例)
生産能力を高める機械の改造資本的支出機械装置 に加算
定期的な部品交換・修理収益的支出修繕費 等で費用計上

判断に迷ったら「使用可能期間の延長」や「能力向上」の有無を確認しましょう。

生徒資本的支出収益的支出、試験ではどう見分けますか。

先生効果の期間で考えます。将来にわたる能力向上・寿命延長は資産計上(資本的)、日常の維持修理は費用(収益的)。

生徒:迷ったら「将来にも効いているか」を確認ですね。

除却・売却の仕訳(まとめ)

固定資産の除却・売却の仕訳まとめ
取引典型仕訳
除却(無料処分減価償却累計額 / 備品(帳簿価額)
固定資産除却損 / —(差額)
売却(現金受取)現金減価償却累計額 / 備品(帳簿価額)
固定資産売却益(または売却損)/ —(差額)

まず帳簿価額=取得原価−累計額を把握し、受取額との差額を益損に振り分けます。

生徒:除却と売却、仕訳の考え方は共通ですか。

先生:はい。いずれも帳簿価額を基準に、受取額との差を益損にします。違いは現金の有無(除却はゼロ、売却は受取あり)。

生徒:まず「累計額の取り崩し」を忘れないことですね。

本文骨子

1) 背景と全体像

固定資産は長期にわたって使用する資産で、取得後は耐用期間に応じて減価償却を行います。支出は「資本的支出(資産計上)」と「収益的支出(費用計上)」に分け、効果の期間で判断します。

2) 典型仕訳(最小セット)

3) 表示とのつながり

貸借対照表では「取得原価−減価償却累計額=帳簿価額」で表示します。損益計算書では減価償却費が販管費または製造原価に含まれます。

4) よくある誤り

型を確認したら、ミニ問題E(固定資産) に進みましょう。

まずはミニ問題

ミニ問題E(固定資産) で基本の型を固めましょう。

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