帳票読取(第1問 15番)攻略

請求書や領収書などの証ひょうは、決まった順序で読めば迷いません。読み取りの手順を固定して、そのまま仕訳につなげる練習をしていきましょう。

この単元で身につくこと

まずイメージ:証ひょうは「読む順番」を決めておく

第1問では、請求書や領収書などの証ひょう(画像や文面)を見て仕訳を答える問題が出題されます。情報量が多く見えても、読む順番を決めておけば、必要な情報だけを漏れなく拾えます。この単元では、出題の形式と読み取りの手順、そして証ひょうの種類ごとの代表的な処理パターンを確認していきます。

出題形式

この形式の問題は、請求書・領収書・振込明細などの証ひょうが1枚示され、そこから読み取れる取引を仕訳する形で出題されます。文章の取引と違い、金額や日付、宛先などの情報が帳票のレイアウトの中に散らばっているため、どこを見れば必要な情報にたどり着けるかをあらかじめ決めておくことが攻略の鍵になります。仕訳そのものの考え方は仕訳の標準型の単元と同じです。

読み取りの手順

証ひょうは、次の順序で読んでいきます。

  1. 発行者と宛先を確認する:誰が発行し、誰宛てなのかを見ます。
  2. 自社の立場を決める:発行者と宛先のどちらが自社かで、買った側か売った側かが決まります。
  3. 金額の内訳を見る:本体金額・消費税額・合計額を分けて確認します。
  4. 日付・決済条件を見る:いつの取引か、支払い済みか、後払い(振込期日など)かを確認します。
請求書(見本):文具卸株式会社 → 当社
品目数量単価金額
事務用品一式190,00090,000
小計90,000
消費税(10%)9,000
御請求金額99,000

図の見方:この請求書には「発行者:文具卸株式会社」「宛先:当社」「お支払期日:振込」というヘッダー情報も添えられています。金額の内訳(小計・消費税・合計)とあわせて、発行者・宛先・支払条件も必ず確認しましょう。

代表パターン

証ひょうの種類が分かれば、代金がすでに動いたのか、これから動くのかも見当がつきます。

代表的な証ひょうと処理のパターン
証ひょう意味代表的な処理
請求書代金をこれから支払う・受け取る(掛け)未払金・買掛金/売掛金など(まだ現金・預金は動いていない)
領収書代金をすでに支払った・受け取った現金・預金の増減としてすでに処理済み
振込明細銀行口座を通じて実際にお金が動いた当座預金・普通預金の増減

表の読み方:請求書はまだお金が動いていない段階の書類、領収書はすでにお金が動いたことを証明する書類です。「請求書=支払済み」と思い込まないようにしましょう。消費税の扱いは消費税(税抜方式)の単元で確認できます。

例題で型をつかむ

例題1(請求書→未払金の仕訳)

文具卸株式会社から当社宛に、事務用品一式90,000円(税抜)、消費税9,000円、合計99,000円の請求書が届いた。お支払期日は振込で指定されている(税抜方式で処理する)。

  1. 発行者と宛先を確認する:発行者は文具卸株式会社、宛先は当社です。当社が代金を請求される側=購入者だと分かります。
  2. 自社の立場を決める:当社は事務用品を「買った」側なので、費用の増加を考えます。事務用品は販売目的の商品ではないため、消耗品費として処理します。
  3. 金額の内訳を見る:本体90,000円、消費税(10%)9,000円、合計99,000円です。
  4. 日付・決済条件を見る:振込期日が指定されており、まだ支払っていないため、未払金(負債)で処理します。
例題1の答え
場面借方科目借方金額貸方科目貸方金額
請求書受領消耗品費90,000未払金99,000
仮払消費税9,000

ここで迷ったら:商品(販売目的)の仕入なら買掛金ですが、事務用品のように自社で使う物品は消耗品費として処理し、未払いの代金は未払金で処理します。商品の仕入と混同しないようにしましょう。

例題2(領収書→売上の仕訳)

当社は商品50,000円(税抜)を販売し、消費税5,000円とあわせて合計55,000円を現金で受け取り、当社発行の領収書をお客様に渡した(税抜方式で処理する)。

  1. 発行者と宛先を確認する:発行者は当社、宛先はお客様です。当社が代金を受け取った側=販売者だと分かります。
  2. 自社の立場を決める:当社は商品を「売った」側なので、収益の増加を考えます。
  3. 金額の内訳を見る:本体50,000円、消費税(10%)5,000円、合計55,000円です。
  4. 日付・決済手段を見る:領収書が発行されている=代金はすでに受け取り済みです。現金の増加として処理します。
例題2の答え
場面借方科目借方金額貸方科目貸方金額
領収書発行現金55,000売上50,000
仮受消費税5,000

ここで迷ったら:領収書は「すでに支払った(受け取った)」ことの証拠です。請求書と違い、未払金や売掛金は登場しません。

よくあるミス

発行者・宛先を取り違える証ひょうの発行者と宛先を逆に読み、買ったのか売ったのかを取り違えるミスです。必ず最初に「誰が発行し、誰宛てか」を確認し、自社がどちら側かを決めてから金額を見ましょう。
税込・税抜の見落とし合計金額をそのまま仕入・売上の金額にしてしまうミスです。税抜方式では、本体金額と消費税額を分けて、本体金額だけを仕入・売上に、消費税額は仮払消費税・仮受消費税に計上します。
請求書=支払済みと誤解する請求書が届いた時点で代金を支払ったと思い込んでしまうミスです。請求書はこれから代金を支払う(受け取る)段階の書類で、実際に支払った証拠になるのは領収書です。

ミニ演習(4問・即時採点)

Q1. 当社宛の請求書が届いた。当社の立場は?(答えを見る)

買った側(代金をこれから支払う側)です。宛先が当社=請求される側だと分かります。

Q2. 当社が発行した領収書がお客様に渡された。当社の立場は?(答えを見る)

売った側(代金をすでに受け取った側)です。領収書は代金を受け取った証拠として発行します。

Q3. 事務用品(消耗品費)を購入し、代金は来月払いの請求書を受け取った。当社が計上する負債の勘定科目は?(答えを見る)

未払金です。事務用品は販売目的の商品ではないため、買掛金ではなく未払金で処理します。

Q4. 請求書に本体90,000円・消費税9,000円・合計99,000円とある。税抜方式で処理する場合、消耗品費として計上する金額はいくらか?(答えを見る)

90,000円です。消費税9,000円は仮払消費税として分けて処理し、消耗品費には含めません。

証ひょうは「発行者と宛先→自社の立場→金額の内訳→日付」の順で読むと迷いません。請求書はまだお金が動いていない段階、領収書はすでにお金が動いたことの証拠と区別し、税抜方式では本体金額と消費税額を分けて仕訳します。

対応する演習