消費税(税抜方式)

消費税がかかる取引を税抜方式で処理するときは、本体価格と消費税額を分けて記録します。期中の仮払・仮受から、決算での未払消費税の計上・納付までを順番に確認していきましょう。

この単元で身につくこと

まずイメージ:本体価格と税額を分けて記録する

商品を売買すると、本体価格に加えて消費税がかかります。3級で中心となる税抜方式では、この本体価格と消費税額を分けて記録します。仕入・売上には本体価格だけを計上し、消費税額は仮払消費税・仮受消費税という一時的な勘定で管理します。決算になったら、この2つの勘定を相殺し、差額を未払消費税として計上します。この単元では、期中の仮払・仮受の記録から、決算・納付までの流れを順番に確認します。

図解:仮払・仮受から未払消費税への流れ

仮払消費税・仮受消費税から未払消費税への流れ 仕入時に仮払消費税、売上時に仮受消費税を計上し、決算で仮受から仮払を差し引いた額を未払消費税として計上することを示した図。 ① 仕入時 仮払消費税を計上 (資産) ② 売上時 仮受消費税を計上 (負債) ③ 決算 仮受−仮払=差額 未払消費税へ振替

図の見方:①仕入時と②売上時にそれぞれ税額を積み上げ、③決算でその差額を未払消費税に振り替えます。納付時は未払消費税を取り崩します。

税抜方式のしくみ

税抜方式では、仕入・売上のどちらでも、金額を本体価格と消費税額に分けて仕訳します。本体価格は通常どおり仕入・売上に計上し、消費税額だけを別の勘定で管理する点が特徴です。

確認:税抜方式では、仕入・売上の金額に消費税を含めません。請求書などに記載された合計額(税込)から、本体価格と消費税額を分けることが最初の一歩です。

期中仕訳(仮払・仮受)

仕入時は、本体価格に対する消費税額を仮払消費税として借方に計上します。売上時は、本体価格に対する消費税額を仮受消費税として貸方に計上します。どちらも、決算で相殺するまでの一時的な勘定です。

確認:本体価格と消費税額は、必ず別の科目に分けて記入します。相手科目(買掛金・売掛金など)の金額だけが税込の合計額になります。

決算と納付(未払消費税)

決算では、期中に積み上がった仮受消費税と仮払消費税を相殺し、差額を未払消費税として計上します。仮受消費税の方が多ければ、その差額が納付すべき消費税額です。

確認:決算整理では仮受消費税・仮払消費税をどちらもゼロにし、差額だけを未払消費税に残します。納付時は未払消費税を取り崩す処理で、租税公課などの費用科目は使いません。

例題で型をつかむ

例題1(仕入時・売上時の仕訳、税率10%)

次の取引を税抜方式で仕訳しなさい。(1)商品100,000円(税抜)を掛けで仕入れた。(2)商品200,000円(税抜)を掛けで販売した。

  1. 仕入時の消費税額を計算する:100,000円×10%=10,000円です。
  2. 仕入時の仕訳を決める:本体は仕入、税額は仮払消費税に計上し、貸方は買掛金です。
  3. 売上時の消費税額を計算する:200,000円×10%=20,000円です。
  4. 売上時の仕訳を決める:本体は売上、税額は仮受消費税に計上し、借方は売掛金です。
例題1の答え(仕入時→売上時)
場面借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕入時仕入100,000買掛金110,000
仮払消費税10,000
売上時売掛金220,000売上200,000
仮受消費税20,000

ここで迷ったら:仕入・売上には本体価格だけを計上し、消費税額は仮払消費税・仮受消費税に分けます。税込金額をそのまま仕入・売上にしないよう注意しましょう。

例題2(決算整理と納付)

決算にあたり、仮受消費税20,000円・仮払消費税10,000円を相殺し、納付額を未払消費税に計上した。その後、この未払消費税を現金で納付した。決算整理仕訳と納付時の仕訳を示しなさい。

  1. 差額を計算する:仮受消費税20,000円−仮払消費税10,000円=10,000円が納付額です。
  2. 決算整理仕訳を決める:仮受消費税・仮払消費税をどちらもゼロにし、差額を未払消費税に計上します。
  3. 納付時の仕訳を決める:未払消費税を取り崩し、現金の減少を貸方に計上します。
例題2の答え(決算整理→納付)
場面借方科目借方金額貸方科目貸方金額
決算整理仮受消費税20,000仮払消費税10,000
未払消費税10,000
納付時未払消費税10,000現金10,000

ここで迷ったら:決算整理は仮受消費税を借方、仮払消費税を貸方に置いて両方をゼロにし、残った差額を未払消費税の貸方に計上します。納付時に租税公課は使いません。

よくあるミス

税込金額をそのまま仕入・売上に計上してしまう請求書などに記載された合計額(税込)を、そのまま仕入・売上の金額にしてしまうミスです。本体価格と消費税額を分ける手順を省略すると起こります。仕入・売上には本体価格だけを計上し、消費税額は仮払消費税・仮受消費税に分けましょう。
仮払と仮受の相殺方向を逆にする決算整理で、仮払消費税を借方に、仮受消費税を貸方に置くなど、向きを逆にしてしまうミスです。仮受消費税は貸方から借方へ、仮払消費税は借方から貸方へ、それぞれゼロに近づける向きで動かすと覚えましょう。
納付時に租税公課を使ってしまう消費税=税金という連想から、納付時の科目を租税公課にしてしまうミスです。税抜方式の消費税納付は、決算で計上した未払消費税を取り崩す処理であり、固定資産税や印紙税などにあてる租税公課とは別の科目です。

ミニ演習(4問・即時採点)

Q1. 税率10%、商品50,000円(税抜)を掛けで仕入れた。仕訳はどれか?(答えを見る)

借方 仕入50,000・仮払消費税5,000/貸方 買掛金55,000です。本体価格は仕入、消費税額は仮払消費税に計上します。

Q2. 税率10%、商品80,000円(税抜)を掛けで販売した。仕訳はどれか?(答えを見る)

借方 売掛金88,000/貸方 売上80,000・仮受消費税8,000です。本体価格は売上、消費税額は仮受消費税に計上します。

Q3. 決算にあたり、仮受消費税30,000円・仮払消費税18,000円を相殺する。決算整理仕訳はどれか?(答えを見る)

借方 仮受消費税30,000/貸方 仮払消費税18,000・未払消費税12,000です。仮受と仮払をゼロにし、差額12,000円を未払消費税に計上します。

Q4. 未払消費税12,000円を普通預金から納付した。仕訳はどれか?(答えを見る)

借方 未払消費税12,000/貸方 普通預金12,000です。未払消費税を取り崩す処理で、租税公課は使いません。

税抜方式では、仕入・売上に本体価格だけを計上し、消費税額は仮払消費税・仮受消費税に分けて記録します。決算では仮受消費税−仮払消費税の差額を未払消費税に計上し、納付時は未払消費税を取り崩します。租税公課を使わない点も確認しておきましょう。

対応する演習