契約資産

定義:財やサービスを提供したが、まだ対価請求権が無条件に成立していない場合の債権(売掛金になる前段階の債権)。

仕訳例(契約資産)
日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
期中契約資産100売上収益100
請求時売掛金100契約資産100

対話で深める:契約資産

現場設定(会社規模・締め日・回収サイト・税率・契約条項):

  • 会社規模:年商6億/従業員25名(SI)
  • 締め日:月末
  • 回収サイト:検収月末締め翌月末
  • 税率:消費税10%
  • 契約条項:検収基準/出来高請求/一部引渡あり

現場エピソード(単位:万円・個・% など):

検収前に成果物の一部を引き渡し、検収後に請求する契約。履行は進んだが請求権が未確定な30を契約資産として計上。検収後に売上債権へ振替。

応用エピソード:

タイムライン:12/20 部分引渡30→12/28 検収→12/31 決算→1/05 請求→1/31 入金。12/31時点は検収済みで請求前のため契約資産30。翌期に売掛金へ振替し回収します。

応用・境界ケース
  • 検収が月末を跨ぐ場合の進捗基準/検収基準の指示確認
  • 出来高請求の未請求分=契約資産(請求権発生前)
  • 検収差戻し・手直し発生時の戻入/減額対応

ユイ:数字があると、判断が速くなりますね。つまり「何に対して」「どの率で」「差額か総額か」を決めれば迷いにくい、ということですか?

先生:その通りです。定義と役割をまず言語化し、次に場面を特定、最後に金額の型(基礎×率か、差額か)に当てはめます。上のエピソードも、同じ手順で処理できます。

ユイ:試験で混乱したら、性格→場面→金額の順に自分へ問いかけます。

先生:仕訳を書いたあと、30秒で口頭説明できるかをチェックしましょう。説明できれば再現性があります。

判断基準とチェック
  • 履行したが請求権が未確定→契約資産
  • 検収・請求確定で売掛金へ振替
  • 収益は履行義務の進捗に応じて認識
  • 30秒で説明:何が起きて、どの基礎×率(または差額)で、なぜその相手科目か
  • チェック質問:締め日と回収/支払サイトは?請求日と入出金日のズレは?
  • チェック質問:税率や非課税・免税の適用は?端数処理は指示どおり?
  • チェック質問:契約条項(検収・返品・遅延利息・前受/割賦)はどう指示されている?

ポイント:履行義務の充足に応じて収益認識し、無条件の請求権が成立した段階で売掛金へ振替えます。関連:契約負債前受収益

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