契約負債

定義:財やサービスの提供義務を負っているのに対価を先に受け取っている負債(旧来の前受金に相当)。

仕訳例(契約負債)
日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
受領時当座預金80契約負債80
履行時契約負債80売上収益80

対話で深める:契約負債

現場設定(会社規模・締め日・回収サイト・税率・契約条項):

  • 会社規模:年商5億/従業員20名(SaaS)
  • 締め日:月末
  • 回収サイト:前受(年間一括)
  • 税率:消費税10%
  • 契約条項:年間契約/返金ポリシーあり(残期間按分)

現場エピソード(単位:万円・個・% など):

前受金110を受領。うち10は利息相当、残り100は翌期のサービス対価。期末に10を受取利息、残高100を契約負債で繰越。

応用エピソード:

期首に前受110、毎月の履行で売上を月割計上。途中解約が6か月目に発生し、残期間の返金が必要な場合は契約負債を減額し、現金返金と相殺の関係に留意します。

応用・境界ケース
  • 月次配分(按分)と金融要素の利息区分
  • 途中解約時の契約負債の戻入と返金処理
  • 値引やクレジット(ストアクレジット)の扱い

ユイ:数字があると、判断が速くなりますね。つまり「何に対して」「どの率で」「差額か総額か」を決めれば迷いにくい、ということですか?

先生:その通りです。定義と役割をまず言語化し、次に場面を特定、最後に金額の型(基礎×率か、差額か)に当てはめます。上のエピソードも、同じ手順で処理できます。

ユイ:試験で混乱したら、性格→場面→金額の順に自分へ問いかけます。

先生:仕訳を書いたあと、30秒で口頭説明できるかをチェックしましょう。説明できれば再現性があります。

判断基準とチェック
  • 前受対価は契約負債
  • 重要な金融要素は利息区分
  • 履行に応じて収益へ振替
  • 30秒で説明:何が起きて、どの基礎×率(または差額)で、なぜその相手科目か
  • チェック質問:締め日と回収/支払サイトは?請求日と入出金日のズレは?
  • チェック質問:税率や非課税・免税の適用は?端数処理は指示どおり?
  • チェック質問:契約条項(検収・返品・遅延利息・前受/割賦)はどう指示されている?

ポイント:履行義務の進行に応じて取り崩し、収益に振替えます。従来の前受収益と整合する概念です。関連:契約資産

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