銀行勘定調整表

銀行勘定調整表は、企業の当座預金の帳簿残高と、銀行が発行する残高証明書の残高がズレたとき、その原因を整理して一致を確かめる表です。ズレの原因を企業側と銀行側に分け、企業側の原因だけ修正仕訳を起こすのがポイントです。両者区分調整法で、両方の残高を正しい残高へそろえる手順を身につけていきましょう。

この単元で身につくこと

まずイメージ:ズレの原因を区分して、正しい残高でそろえる

企業が記録する当座預金の帳簿残高と、銀行の残高証明書の残高は、しばしば一致しません。原因は、企業がまだ記帳していないこと(未渡小切手・入金連絡の未通知・手数料の未記帳など)と、銀行の処理が時間差で遅れていること(未取付小切手・時間外預入など)に分けられます。前者は企業側で修正仕訳が要りますが、後者は時間がたてば解消するので仕訳は要りません。原因を区分し、両方を正しい残高へそろえるのが銀行勘定調整表です。

図の見方:まず①ズレを確認し、②原因を企業側・銀行側に分け、③両方を正しい残高へそろえます。修正仕訳が必要なのは企業側の原因だけ、という区分が要になります。

目的と不一致の原因

不一致の原因は、それぞれどちら側の残高を動かすか、そして企業側で修正仕訳が要るかどうかで整理できます。代表的な原因を分類しておきましょう。企業側の原因(未渡小切手・入金連絡の未通知・手数料の未記帳)は、企業がまだ記帳していないので修正仕訳が必要です。銀行側の原因(未取付小切手・時間外預入)は、時間差で解消するため仕訳は不要で、調整表の上で加減するだけです。

不一致の原因と区分
原因動かす側方向企業の仕訳
未渡小切手企業側加算必要
入金連絡の未通知企業側加算必要
手数料の未記帳企業側減算必要
未取付小切手銀行側減算不要
時間外預入銀行側加算不要

表の見方:企業の仕訳が「必要」の行だけ修正仕訳を起こします。「不要」の銀行側は、調整表で加減するだけで帳簿は動かしません。

両者区分調整法

両者区分調整法は、企業の帳簿残高と銀行の残高証明書残高の両方に、それぞれの原因を加減して、共通の正しい残高へそろえる方法です。企業側は帳簿残高を出発点に、未渡小切手や入金連絡の未通知を加算し、未記帳の手数料を減算します。銀行側は残高証明書を出発点に、時間外預入を加算し、未取付小切手を減算します。両方の結果が同じ金額になれば、調整は正しくできています。

両者区分調整法のフレーム
操作企業側(帳簿残高から)銀行側(残高証明書から)
出発点帳簿残高残高証明書残高
加算(+)未渡小切手・入金連絡の未通知時間外預入
減算(−)未記帳の手数料未取付小切手
= 正しい残高一致する金額一致する金額

表の見方:企業側と銀行側で、それぞれ加算・減算する項目が違います。両方の「正しい残高」が同じ金額になれば調整は成功です。

修正仕訳(企業側のみ)

修正仕訳を起こすのは、企業側の原因だけです。未渡小切手は、支払いのために小切手を作成して当座預金を減らしていたのに、まだ相手へ渡していない状態です。渡していない以上、当座預金を元に戻し、消していた買掛金などの債務を復活させます。入金連絡の未通知は、売掛金などの回収が銀行で済んでいるのに企業が未記帳の状態で、当座預金を増やして売掛金を減らします。手数料の未記帳は、支払手数料を計上して当座預金を減らします。

一方、未取付小切手(相手がまだ銀行に持ち込んでいない)と時間外預入(営業時間外の預入で銀行の記帳が翌日になる)は、銀行側の時間差なので、企業の帳簿は正しく、修正仕訳は不要です。

確認:修正仕訳は企業側の原因のみ。未渡小切手は買掛金などの復活、入金連絡の未通知は売掛金の減少、手数料は支払手数料の計上です。銀行側は仕訳しません。

ユイ未取付小切手と未渡小切手は、どちらも小切手ですが仕訳は必要ですか?

サクラ先生未取付小切手は銀行側の時間差なので不要です。未渡小切手は企業側の原因なので必要で、当座預金を戻して買掛金などを復活させます。

ユイ名前が似ていて紛らわしいです。見分け方はありますか?

サクラ先生「未取付」は相手が銀行にまだ持ち込んでいない、「未渡」は企業がまだ相手に渡していない、と主語で分けると整理できます。

例題で型をつかむ

例題1(両者区分調整)

当座預金の帳簿残高は300,000円、銀行の残高証明書残高は340,000円である。不一致の原因は次の5つであった。両者区分調整法で、両方の正しい残高を求めなさい。①未渡小切手20,000円、②入金連絡の未通知15,000円、③手数料の未記帳5,000円、④未取付小切手50,000円、⑤時間外預入40,000円。

  1. 原因を区分する:①②③は企業側、④⑤は銀行側の原因です。
  2. 企業側を調整する:帳簿残高300,000に①20,000と②15,000を加算し、③5,000を減算します。
  3. 銀行側を調整する:残高証明書340,000から④50,000を減算し、⑤40,000を加算します。
  4. 照合する:企業側300,000+20,000+15,000−5,000=330,000、銀行側340,000−50,000+40,000=330,000で一致します。
例題1の両者区分調整
項目企業側銀行側
出発点の残高300,000340,000
+ 未渡小切手20,000
+ 入金連絡の未通知15,000
− 手数料の未記帳5,000
+ 時間外預入40,000
− 未取付小切手50,000
正しい残高330,000330,000

ここで迷ったら:④未取付小切手を企業側で引かないこと。銀行側の減算です。加算・減算の方向は、原因の区分表で確かめます。

例題2(修正仕訳・企業側のみ)

例題1の5つの原因のうち、企業側の原因(①未渡小切手20,000円、②入金連絡の未通知15,000円、③手数料の未記帳5,000円)について、必要な修正仕訳を示しなさい。なお①は買掛金の支払いのために振り出したものである。

  1. 取引を読む:企業側の3つだけ仕訳します。銀行側の④⑤は仕訳不要です。
  2. 増減を決める:①渡していないので当座預金を戻し買掛金を復活、②回収済みなので当座預金を増やし売掛金を減らす、③手数料を費用計上して当座預金を減らします。
  3. 左右を決める:①借方=当座預金/貸方=買掛金、②借方=当座預金/貸方=売掛金、③借方=支払手数料/貸方=当座預金。
  4. 照合する:当座預金は+20,000+15,000−5,000=+30,000で、300,000+30,000=330,000となり正しい残高に一致します。
例題2の答えの仕訳
原因借方科目借方金額貸方科目貸方金額
① 未渡小切手当座預金20,000買掛金20,000
② 入金連絡の未通知当座預金15,000売掛金15,000
③ 手数料の未記帳支払手数料5,000当座預金5,000

ここで迷ったら:①未渡小切手の相手科目を誤らないこと。支払いのために消していた買掛金を復活させます。銀行側の④⑤には修正仕訳を起こしません。

よくあるミス

未取付小切手を企業側の修正にしてしまう未取付小切手は、相手がまだ銀行に持ち込んでいないだけで、企業の帳簿はすでに正しく記帳済みです。銀行側の時間差なので、企業の修正仕訳は不要で、調整表では銀行側の残高から減算します。企業側で当座預金を動かさないよう注意します。
未渡小切手の相手科目を誤る未渡小切手は、支払いのために当座預金を減らしていたのに、まだ相手へ渡していない状態です。当座預金を元に戻すと同時に、消していた買掛金などの債務を復活させます。相手科目を仮払金や現金にしないよう、もとの支払いの相手を確かめます。
加算・減算の方向を取り違える企業側と銀行側で、加算する項目と減算する項目は違います。原因ごとにどちら側をどちら向きに動かすかを、区分表で確かめてから金額を入れます。方向を逆にすると、両者の残高が一致しません。最後に両方が同じ金額になるかで検算します。

ミニ演習(4問・即時採点)

Q1. 取引先がまだ銀行に持ち込んでいない未取付小切手について、企業側の処理はどれですか?(答えを見る)

修正仕訳は不要です。未取付小切手は銀行側の時間差で、企業はすでに記帳済みです。調整表では銀行側の残高から減算するだけで、企業の帳簿は動かしません。

Q2. 支払いのために作成したが相手にまだ渡していない未渡小切手(買掛金の支払い予定だった)について、企業側の修正仕訳の相手科目はどれですか?(答えを見る)

買掛金です。未渡小切手は当座預金を元に戻し、消していた買掛金を復活させます。(借)当座預金/(貸)買掛金となります。

Q3. 銀行が引き落とした手数料を企業が未記帳だった場合、企業側の修正仕訳はどれですか?(答えを見る)

支払手数料を計上し、当座預金を減らします。(借)支払手数料/(貸)当座預金です。企業側の残高を減らす調整になります。

Q4. 両者区分調整法で、修正仕訳を起こす必要があるのはどちらの原因ですか?(答えを見る)

企業側の未記帳・誤記です。銀行側(未取付小切手・時間外預入)は時間差で解消するため仕訳は不要です。企業側の原因だけ修正仕訳を起こします。

銀行勘定調整表は、帳簿残高と銀行の残高証明書残高のズレを、企業側と銀行側の原因に区分して一致を確かめる表です。両者区分調整法では、両方の残高にそれぞれの原因を加減して、共通の正しい残高へそろえます。修正仕訳を起こすのは企業側の原因だけで、銀行側は時間差のため仕訳不要です。次の単元では、固定資産を学びます。

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