精算表(8桁:整理記入→PL/BS)

精算表は、決算整理を紙の上で一気に見通すための一覧表です。列が多くて難しく見えますが、読み順さえ固定すれば怖くありません。ここでは、8桁精算表の構造と読み順から、整理記入を損益計算書欄・貸借対照表欄へ振り分ける手順、そして当期純利益で貸借を締めるところまでを、順に身につけていきましょう。

この単元で身につくこと

まずイメージ:4つの欄を左から右へ読む

精算表は、決算整理前の残高から始めて、整理を加え、最後に損益計算書と貸借対照表の形に整えるまでを、1枚の表で追いかけるものです。8桁精算表では、残高試算表・整理記入・損益計算書・貸借対照表の4つの欄がそれぞれ借方・貸方に分かれ、合わせて8つの列(8桁)になります。列の多さに圧倒されず、「左から右へ、行ごとに追う」という読み順を最初に決めておくと、転記ミスをぐっと減らせます。

8桁精算表の読み順を示す図 8桁精算表は、残高試算表・整理記入・損益計算書・貸借対照表の4つの欄がそれぞれ借方と貸方に分かれます。各行で残高試算表に整理記入を加減し、費用・収益は損益計算書欄へ、資産・負債・純資産は貸借対照表欄へ振り分けるようすを示します。 8桁精算表は、4つの欄を左から右へ読みます 残高試算表 借方 貸方 整理記入 借方 貸方 損益計算書 借方 貸方 貸借対照表 借方 貸方 各行で、残高試算表に整理記入を加減します(=整理後の金額)。 費用・収益は損益計算書欄へ、資産・負債・純資産は貸借対照表欄へ振り分けます。 損益計算書欄と貸借対照表欄の貸借差額が、当期純利益になります。

図の見方:4つの欄は左から「残高試算表 → 整理記入 → 損益計算書 → 貸借対照表」の順です。各行で残高試算表に整理記入を加減し、その金額を損益計算書欄か貸借対照表欄へ移します。8桁精算表には整理後残高だけの欄はなく、行ごとに頭の中で加減して直接振り分けます。

8桁精算表の構造と読み順

8桁精算表は、残高試算表・整理記入・損益計算書・貸借対照表の4つの欄でできています。それぞれが借方と貸方に分かれるので、列は全部で8つ(8桁)です。読み順は左から右で決まっています。まず残高試算表の欄に、決算整理前の各勘定の残高が並びます。ここが出発点です。

次に整理記入の欄に、決算整理仕訳を借方・貸方へ記入します。売上原価の算定、貸倒引当金の設定、減価償却、経過勘定などがここに入ります。そして各行で、残高試算表の金額に整理記入を加減した金額(整理後の金額)を、損益計算書欄または貸借対照表欄へ移します。ここで大切なのは、8桁精算表には「整理後残高」だけを書く独立した欄がない点です。整理後の金額は行ごとに頭の中で計算し、そのまま損益計算書欄か貸借対照表欄に書き込みます。

確認:8桁=残高試算表・整理記入・損益計算書・貸借対照表の4欄×借方貸方。読み順は左から右。整理後残高の独立欄はなく、各行で加減して直接P/L欄・B/S欄へ書きます。

整理記入から損益計算書欄・貸借対照表欄へ

各行の金額は、次のように計算します。残高試算表で借方に残高がある勘定は、整理記入も借方なら足し、貸方なら引きます。残高試算表で貸方に残高がある勘定は、その逆です。この加減で出た整理後の金額を、勘定の性質に応じて振り分けます。

振り分けの基本は、費用と収益は損益計算書欄、資産・負債・純資産は貸借対照表欄です。仕入(売上原価)・給料・減価償却費・貸倒引当金繰入などの費用は損益計算書欄の借方へ、売上・受取利息などの収益は損益計算書欄の貸方へ入れます。現金・売掛金・繰越商品・建物などの資産は貸借対照表欄の借方へ、買掛金・借入金などの負債と資本金・繰越利益剰余金などの純資産は貸借対照表欄の貸方へ入れます。貸倒引当金や減価償却累計額は資産のマイナス(評価性)なので、貸借対照表欄の貸方に入ります。売上原価の整理記入は、仕入と繰越商品を入れ替える2本の仕訳になるので、特に丁寧に追いましょう。

確認:費用・収益は損益計算書欄、資産・負債・純資産は貸借対照表欄。貸倒引当金・減価償却累計額は評価性なので貸借対照表欄の貸方に入ります。

当期純利益の算定と締め

費用・収益・資産・負債・純資産をそれぞれの欄に振り分けると、損益計算書欄と貸借対照表欄は、そのままでは借方と貸方の合計が一致しません。この差額が当期純利益(または当期純損失)です。損益計算書欄では、貸方(収益)の合計が借方(費用)の合計を上回っていれば、その差額が当期純利益です。差額を損益計算書欄の借方に「当期純利益」として書き加えると、借方と貸方が一致します。

同じ当期純利益は、貸借対照表欄にも現れます。利益が出た分だけ純資産が増えるので、同額を貸借対照表欄の貸方に書き加えます。こうして、損益計算書欄では借方に、貸借対照表欄では貸方に、同じ当期純利益を加えると、両方の欄がそろって締まります。もし費用が収益を上回っていれば当期純損失で、加える側が逆(損益計算書欄の貸方・貸借対照表欄の借方)になります。

確認:当期純利益=損益計算書欄の貸方合計−借方合計。黒字なら損益計算書欄の借方と貸借対照表欄の貸方に同額を加えて締めます。損失なら加える側が逆になります。

ユイ8桁精算表に、整理後の残高を書く欄が見当たりません。

サクラ先生8桁精算表には整理後残高だけの欄はありません。各行で、残高試算表に整理記入を加減した金額を、その場で損益計算書欄か貸借対照表欄に書き込みます。

ユイ整理後残高の欄があるのは、桁数の多い精算表なのですね。

サクラ先生そうです。8桁では、行ごとに頭の中で加減して直接振り分ける、と覚えておきましょう。

ユイ当期純利益は、損益計算書欄と貸借対照表欄のどちらに書くのですか?

サクラ先生黒字なら、損益計算書欄では借方に、貸借対照表欄では貸方に、同じ金額を書き加えます。加える側が左右で逆になる点がポイントです。

ユイ両方とも同じ側に書いてしまいそうです。

サクラ先生利益は純資産を増やすので、貸借対照表欄では貸方です。損益計算書欄は締めのために借方、と結び付けて覚えます。

例題で型をつかむ

例題1(売上原価の整理記入と振り分け)

残高試算表に、繰越商品80,000円(借方)と仕入620,000円(借方)がある。決算整理で、期末商品棚卸高は95,000円である(三分法)。整理記入欄への記入と、精算表上の繰越商品・仕入の金額、および入る欄を示しなさい。

  1. 整理記入を書く:期首商品を仕入へ、期末商品を繰越商品へ振り替えます。整理記入は、仕入80,000(借方)・繰越商品80,000(貸方)と、繰越商品95,000(借方)・仕入95,000(貸方)です。
  2. 繰越商品を計算する:試算表80,000(借)+整理記入95,000(借)−整理記入80,000(貸)=95,000。資産なので貸借対照表欄の借方へ。
  3. 仕入を計算する:試算表620,000(借)+整理記入80,000(借)−整理記入95,000(貸)=605,000。費用(売上原価)なので損益計算書欄の借方へ。
  4. まとめる:繰越商品95,000は貸借対照表欄の借方、仕入605,000は損益計算書欄の借方に入ります。
例題1の精算表上の動き
科目試算表(借)整理記入(借)整理記入(貸)入る欄と金額
繰越商品80,00095,00080,000貸借対照表・借方 95,000
仕入620,00080,00095,000損益計算書・借方 605,000

ここで迷ったら:繰越商品は資産なので貸借対照表欄、仕入(売上原価)は費用なので損益計算書欄です。整理記入は借方どうしを足し、貸方は引く、と向きをそろえます。

例題2(貸倒・減価償却の振り分けと当期純利益の締め)

決算整理で、貸倒引当金繰入5,000円(貸倒引当金5,000円を設定)と、減価償却費40,000円(減価償却累計額40,000円)を計上した。損益計算書欄の費用は、売上原価605,000円・給料90,000円・貸倒引当金繰入5,000円・減価償却費40,000円で、収益は売上800,000円だけである。各項目の入る欄と、当期純利益を示しなさい。

  1. 費用を損益計算書欄の借方へ:貸倒引当金繰入5,000と減価償却費40,000は費用なので、損益計算書欄の借方です。
  2. 評価性の項目を貸借対照表欄の貸方へ:貸倒引当金と減価償却累計額は資産のマイナスなので、貸借対照表欄の貸方に入ります。
  3. 当期純利益を求める:損益計算書欄の借方合計=605,000+90,000+5,000+40,000=740,000。貸方(売上)=800,000。差額800,000−740,000=60,000が当期純利益。
  4. 両欄を締める:当期純利益60,000を損益計算書欄の借方に加えると借方も800,000で一致。同額60,000を貸借対照表欄の貸方に加えます。
例題2の損益計算書欄と締め
損益計算書欄借方貸方
費用・収益の合計740,000800,000
当期純利益(借方に加える)60,000
合計800,000800,000

ここで迷ったら:当期純利益は損益計算書欄では借方に加えます。同じ60,000を貸借対照表欄では貸方に加えます。両欄で加える側が逆になる点に注意します。

よくあるミス

整理記入を試算表に足し引きする向きを誤る試算表の借方残高に整理記入の貸方を足してしまうミスです。借方残高の勘定は、整理記入も借方なら足し、貸方なら引きます。まず試算表でその勘定が借方残か貸方残かを確認してから加減すると防げます。
損益計算書欄と貸借対照表欄の振り分けを誤る費用・収益か、資産・負債・純資産かの判断を間違えると起きます。仕入(売上原価)や減価償却費は費用なので損益計算書欄、繰越商品や建物は資産なので貸借対照表欄です。勘定の性質を先に決めてから欄を選ぶと防げます。
当期純利益を両欄とも同じ側に加える黒字の当期純利益は、損益計算書欄では借方、貸借対照表欄では貸方に加えます。利益は純資産を増やすので貸借対照表欄では貸方、という結び付けで覚えると、左右をそろえるミスを防げます。

ミニ演習(5問・即時採点)

Q1. 8桁精算表の4つの欄の並びとして正しいのはどれですか?(答えを見る)

残高試算表 → 整理記入 → 損益計算書 → 貸借対照表です。左から右へこの順で読みます。各欄がさらに借方・貸方に分かれるので、列は全部で8つ(8桁)になります。

Q2. 残高試算表の繰越商品80,000円(借方)に、整理記入で借方95,000円・貸方80,000円がある。精算表上の繰越商品の金額と入る欄はどれですか?(答えを見る)

95,000円で、貸借対照表欄の借方です。80,000+95,000−80,000=95,000。繰越商品は資産なので貸借対照表欄に入ります。

Q3. 残高試算表の仕入620,000円(借方)に、整理記入で借方80,000円・貸方95,000円がある。精算表上の金額と入る欄はどれですか?(答えを見る)

605,000円で、損益計算書欄の借方です。620,000+80,000−95,000=605,000。仕入(売上原価)は費用なので損益計算書欄に入ります。

Q4. 減価償却累計額は、精算表のどの欄のどちら側に入りますか?(答えを見る)

貸借対照表欄の貸方です。減価償却累計額は資産のマイナス(評価性)なので、貸借対照表欄の貸方に入ります。損益計算書欄に入るのは減価償却費(費用)のほうです。

Q5. 当期純利益(黒字)は、精算表のどこに加えますか?(答えを見る)

損益計算書欄の借方と、貸借対照表欄の貸方です。損益計算書欄は締めのために借方、貸借対照表欄は純資産の増加なので貸方に、同じ金額を加えます。

8桁精算表は、残高試算表・整理記入・損益計算書・貸借対照表の4欄を左から右へ読みます。各行で残高試算表に整理記入を加減し、費用・収益は損益計算書欄、資産・負債・純資産は貸借対照表欄へ振り分けます。最後に、損益計算書欄の借方と貸借対照表欄の貸方に同じ当期純利益を加えると、両欄がそろって締まります。

対応する演習