配賦基準

目的適合的に製造間接費を製品へ配るための基準。作業時間・機械時間などから選びます。

代表例と選び方

配賦基準の代表例
基準使い所
作業時間労働集約的な工程。直接作業時間との関連が強いとき
機械時間機械稼働が支配的な工程。電力・保全費と連動
材料費材料価格の影響が大きい工程

配賦基準の選択は、費用収益対応意思決定の精度で評価します。

対話で理解しよう — 「配る物差し」をどう選ぶ?

ハル:配賦基準って、製造間接費を製品に配るときの物差しですよね。作業時間や機械時間のどっちを選べばいいのか迷います。

椿先生:一番大事なのは因果関係です。間接費が何に比例して増えるのか。例えばオーブンの電力や保全費が大きいなら機械時間、段取り・監督など人に紐づく要素が大きいなら作業時間が合います。

ハル:具体的に確かめるには?

椿先生:ミニ検証をしましょう。
− 月の見積製造間接費:360,000 円/全工場の機械時間:1,800 h。
このとき予定配賦率は 360,000 ÷ 1,800 = 200 円/h。これは機械時間を基準にしたから計算が筋通りになります。

ハル:もし同じ状況で作業時間を基準にしたら?

椿先生:電力に左右される工程のコストが人の時間に流れ込み、機械を長く使う製品が過小計上、手作業中心の製品が過大計上になりがちです。歪みが大きいときは部門別に基準を分ける発想も有効です(例:成形部は機械時間、組立部は作業時間)。

ハル:材料費を基準にするのは変ですか?

椿先生:材料価格の大小に引っ張られる工程(塗装・薬剤・試薬など)では妥当な場合があります。ですが価格変動に反応して配賦が不安定になるので、モニタリングを併用しましょう。

定義・判断の物差し

  1. A製品(作業0.2h+機械0.8h)、B製品(作業0.8h+機械0.2h)のとき、電力が支配的ならどの基準を採用しますか?一言で理由を。
  2. あなたの部門で、作業時間と機械時間のどちらの相関が高いですか?過去1か月のデータで根拠を1つ。
  3. 基準の切り替え後、効果検証に使う指標(差異縮小率 等)を1つ決めましょう。

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