労務費差異(賃率差異・能率差異)

人件費のズレは賃率能率か。式と仕訳の型で、読み分けを素早く行いましょう。

式(代表形)

賃率差異 = 実際時間 × (標準賃率 − 実際賃率)

能率差異 = 標準賃率 × (許容標準時間 − 実際時間)

許容標準時間 = 実際産出量 × 標準時間/単位(許容標準

仕訳例(5列TABLE)

労務費差異の仕訳例
日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
3/20仕掛品1,500賃金1,500
3/31労務費賃率差異30賃金30
3/31仕掛品?労務費能率差異?(有利/不利)
3/31労務費賃率差異26,000賃金26,000

差異の勘定名・表示は問題の様式に合わせましょう。

対話で理解しよう — 組立ラインの残業対応

現場エピソード:標準賃率1,200円/h、標準時間0.5h/個。実際産出は1,000個、実際時間550h、実際賃率1,260円/h(残業割増含む)。

ハル:「賃率差異=550×(1,200−1,260)=−33,000円(不利)。能率差異=1,200×(許容500−実際550)=−60,000円(不利)。合計−93,000円(不利)です」

椿先生:「妥当な読みです。賃率差異は人員ミックスや割増、能率差異は手順・訓練・段取りの影響。数字を見たらどの現場行動を変えるかまで具体化しましょう。」

定義・判断の物差し

  1. 今月の許容標準時間(h)を計算し、能率差異の方向を言葉で説明しましょう。
  2. 賃率差異が有利でも能率差異が不利のとき、現場に起きている可能性のある具体事象を1つ書きましょう。
  3. 次月に1日で試せる能率改善を1つ(動画手順、2人段取り、型替え短縮など)挙げましょう。

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