労務費差異(賃率差異・時間差異)
労務費差異は、労務費の標準原価と実際原価のズレを、賃率差異と時間差異に分ける差異です。時間差異は「労務能率差異」または「能率差異」とも呼びます。賃率差異は単価のズレを実際時間に掛け、時間差異は作業時間のズレを標準賃率で評価します。材料差異と同じ対応関係で覚えられます。
基本情報
| 分類 | 標準原価計算の労務費差異(賃率差異・時間差異) |
|---|---|
| 何を表すか | 労務費の標準原価と実際原価のズレを、単価要因(賃率)と作業時間要因(時間)に分けた金額 |
| 計算式(求め方) | 賃率差異=(実際賃率−標準賃率)×実際時間、時間差異=(実際時間−許容標準時間)×標準賃率 |
| 使う場面 | 労務費の賃率や作業時間にズレが生じたとき、原因(雇用条件か作業効率か)を特定する場面 |
| 試験での問われ方 | 標準賃率・許容標準時間・実際賃率・実際時間の資料から、賃率差異・時間差異を計算し有利・不利を判定させる出題 |
計算式・具体例
標準賃率1,200円/時・許容標準時間1,420時間に対し、実際賃率1,280円/時・実際時間1,500時間だった場面です。
| 求めるもの | 式 | 数値例 |
|---|---|---|
| 賃率差異 | (実際賃率−標準賃率)×実際時間 | (1,280−1,200)×1,500=120,000円の不利 |
| 時間差異 | (実際時間−許容標準時間)×標準賃率 | (1,500−1,420)×1,200=96,000円の不利 |
材料差異と同じ対応関係です。単価側のズレ(賃率差異)は実際時間に掛け、量側のズレ(時間差異)は標準賃率で評価します。総差異は216,000円の不利(実際1,920,000円−標準1,704,000円)で、120,000円+96,000円と一致します。
混同しやすい語との違い
- 材料差異とは?価格差異・数量差異の見分け方との違い:労務費差異は賃率・時間、材料差異は価格・数量という対応する2軸で分解する点は同じですが、対象の費目が異なります。
- 許容標準(時間・数量)との違い:許容標準時間は時間差異を計算するための比較のものさし、本語はその比較から生まれる金額です。
- 標準原価計算の差異(材料・労務・間接費)との違い:標準原価計算の差異は材料・労務・間接費をまとめた総称、本語はそのうち労務費部分だけです。
試験でのよく問われ方
- 標準賃率・許容標準時間・実際賃率・実際時間の資料から、賃率差異・時間差異を計算させ、有利・不利を判定させる出題。
- 2つの差異の合計が総差異と一致するかを検算させる出題。
ミニ演習(3問・即時採点)
Q1. 労務費差異のうち、作業時間側のズレを表す差異はどれですか?(答えを見る)
時間差異です。(実際時間−許容標準時間)×標準賃率で計算します。賃率差異は単価側、操業度差異は製造間接費の差異です。
Q2. 標準賃率1,200円/時・実際賃率1,280円/時・実際時間1,500時間のとき、賃率差異はどうなりますか?(答えを見る)
120,000円の不利差異です。(1,280−1,200)×1,500=120,000円で、実際賃率の方が高いため不利差異になります。
Q3. 許容標準時間1,420時間・実際時間1,500時間・標準賃率1,200円/時のとき、時間差異はどうなりますか?(答えを見る)
96,000円の不利差異です。(1,500−1,420)×1,200=96,000円で、実際時間の方が長いため不利差異になります。
関連
- ガイドで学ぶ:標準原価計算と差異分析
- 関連する用語:材料差異とは?価格差異・数量差異の見分け方/許容標準(時間・数量)/標準原価計算の差異(材料・労務・間接費)
- 解いて定着:標準原価計算ドリル