減価償却累計額
資産のマイナスを示す評価勘定で、通常は貸方残。貸借対照表では固定資産から差引表示します。
出題：第1問（頻出）／優先度：高
概要
減価償却費を計上すると減価償却累計額が増え、固定資産の簿価（取得原価−累計額）を調整します。
除却時は累計額を借方に戻し、残額を固定資産除却損などで処理します。
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 12/31 | 減価償却費 当期の費用を認識 |
90,000 | 減価償却累計額 評価勘定が増加（貸方） |
90,000 |
減価償却では、費用として計上する相手に「減価償却累計額」という評価勘定を用います。累計額は貸方で増え、固定資産の取得原価から差し引かれて簿価が小さくなっていきます。したがって、期末ごとに「費用が借方、累計額が貸方」という向きで増える関係だと読み取ると理解が安定します。
判断のコツ
- 増えるときは貸方（評価勘定）、減価償却費とペアで覚える。
- 貸借対照表では固定資産から差引表示。簿価＝取得原価−累計額。
- 除却時は累計額を借方へ戻し、差額は固定資産除却損益へ。
代表仕訳
仕訳例（5列）
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 12/31 | 償却減価償却費 当期分の費用を計上 |
90,000 | 減価償却累計額 評価勘定が増加（貸方） |
90,000 |
| 除却時 | 累計取り崩し減価償却累計額 評価勘定を借方へ戻す |
300,000 | 備品 取得原価 |
500,000 |
| 差額固定資産除却損 簿価（取得原価−累計額） |
200,000 |
累計額が増えるほど帳簿価額は減少します。除却時は累計額を借方へ戻し、残額を除却損などで処理します。
似ている用語との区別
- 減価償却費（費用） vs 減価償却累計額（評価勘定）。
- 帳簿価額：取得原価−累計額。表示は貸借対照表で差引。
クイックリファレンス
| 分類 | 資産の控除（評価勘定） |
|---|---|
| 計上 | （借）減価償却費／（貸）減価償却累計額 |
| 帳簿価額 | 取得原価−減価償却累計額 |
| よくあるミス | 費用（減価償却費）と混同する、帳簿価額の差引を逆にする |
ミニ演習（減価償却累計額）
1) 決算で備品の減価償却費90,000円を計上します。仕訳は？
答えを見る
（借）減価償却費 90,000 ／（貸）減価償却累計額 90,000。2) 取得原価500,000円・累計額300,000円の備品を除却しました（対価なし）。除却仕訳は？
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（借）減価償却累計額 300,000、固定資産除却損 200,000 ／（貸）備品 500,000。3) 減価償却累計額は貸借対照表でどのように表示しますか？
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固定資産（取得原価）から差し引いて表示します（評価勘定）。簿価＝取得原価−累計額です。
実務TIP： 固定資産台帳の償却記録と累計額を月次で突合し、除却や売却の事実があれば証憑とあわせて速やかに調整しましょう。