減価償却費

固定資産の取得原価を耐用年数で配分し、毎期の費用として認識する勘定です。

出題:第1問(頻出)/優先度:高

概要

減価償却費は、備品などの有形固定資産の価値を時間の経過とともに費用化するための勘定です。簿記3級では定額法・月割計算が中心です。

費用として損益計算書に計上し、同時に減価償却累計額を増加させて貸借対照表の帳簿価額を調整します。

減価償却費の最小例(定額法の基本形)。
日付 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
12/31 減価償却費
当期分を費用化
90,000 減価償却累計額
評価勘定が増加
90,000

仕訳は「費用(借方)」と「減価償却累計額(貸方)」の対で積み上がります。累計額が増えるほど固定資産の簿価は小さくなるため、この関係を意識して読むと、償却と貸借対照表のつながりがはっきりします。

試験で押さえるポイント

クイックリファレンス

分類費用
計算方法定額法:取得原価×償却率(年)
月割取得月の翌月からor月割計算
関連勘定備品・車両運搬具などの固定資産

月割計算では取得月を1か月と数えるか除外するか、問題文の指示に従います。

定額法の計算例

取得原価600,000円、耐用年数5年、残存価額ゼロの備品を4月に購入した場合の当期減価償却費です(決算12月)。

年額: 600,000 ÷ 5 = 120,000 月割: 120,000 × 9/12 = 90,000

仕訳は(借)減価償却費 90,000 / (貸)減価償却累計額 90,000。

仕訳例(5列)

期末の減価償却費計上と除却時の仕訳を5列で整理します。
日付 借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
12/31 期末計上減価償却費
当期分の費用を認識
90,000 減価償却累計額
資産の価値の減少を蓄積
90,000
除却時 簿価の消去減価償却累計額
累計額の取り崩し
300,000 備品 300,000
除却時 差額固定資産除却損
簿価との差額を損失へ

定額法では期末に減価償却費を計上し、除却時は減価償却累計額を取り崩して差額を除却損とします。

似ている用語との区別

実務TIP: 固定資産台帳で取得日・金額・耐用年数・償却方法を管理し、期末一括計上時のエビデンスにしましょう。

関連ページ

ミニ演習(減価償却費)

1) 減価償却費はどの財務諸表に表示されますか?
答えを見る損益計算書の費用欄。
2) 減価償却費の仕訳で貸方に記入する勘定は?
答えを見る減価償却累計額。
3) 償却期間が途中で変更になった場合、簿記3級ではどう扱う?
答えを見る原則として試験では指示された方法(定額法)に従って計算する。
計算練習は固定資産ガイドで手を動かしましょう。

判断のコツ