直接費と間接費

個別製品に直接追跡できるなら直接費、困難なら間接費。配賦・差異の前提になる基本概念です。

定義

直接費は製品に直接集計可能な原価(例:直接材料費・直接労務費)。間接費は製品個別へは直接追跡できず、共通に発生する原価(例:工場光熱費・監督者賃金)。

使い所

仕訳例

仕訳例(直接/間接の代表)
日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
3/10仕掛品5,000材料5,000
3/31製造間接費2,000水道光熱費2,000
3/10仕掛品7,200賃金7,200

関連用語

対話で理解しよう — 直接費と間接費の線引き

現場エピソード:1バッチ1,000枚のクッキーを焼く日。小麦粉を25kg×120円/kg=3,000円使用、成形スタッフは6時間×1,200円/h=7,200円。工場全体の照明・空調はその日8,000円、監督者賃金が12,000円発生しました。

ハル:「小麦粉と成形の賃金は、この1バッチにそのまま紐づくので直接費。照明・空調と監督者は複数製品の共通だから間接費ですね」

椿先生:「その判断で正しいです。直接費は製品(原価対象)に合理的に追跡できる支出、間接費は追跡が難しい共通支出です。間接費は予定配賦率で各製品に配賦します。」

定義・判断の物差し

ワンポイント(グレーゾーンの扱い)

安価な接着剤やテープは1製品にひもづけ可能でも、計測の手間が大きい場合は間接材料として扱うのが実務的です。

  1. 今日の「試作バッチ1,000枚」で、直接費と判断できるものを3つ挙げ、根拠(記録方法)を書きましょう。
  2. 共通の支出から、予定配賦率を使ってこのバッチに配賦すべき間接費を1つ挙げ、配賦基準(工数/機械時間 等)も指定しましょう。
  3. 「小額だが追跡可能」な支出を1つ選び、直接費にせず間接費に回す理由を書きましょう。

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