原価の3要素(材料費・労務費・経費)

まずは「材料費・労務費・経費」の定義と判定基準を押さえ、後続の配賦や差異分析に備えていきましょう。

定義と関係

原価は通常「材料費・労務費・経費」に区分します。さらに製品個別へ追跡できるか否かで「直接費/間接費」に分けます(直接費と間接費参照)。

使い所と判定手順

  1. 目的適合性:意思決定・原価計算の目的に照らし区分する
  2. トレーサビリティ:個別製品へ追跡可能なら直接費、困難なら間接費
  3. 表示の統一:勘定連絡図と表示で整合を取る

仕訳例

仕訳例(3要素の代表)
日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
3/10仕掛品5,000材料5,000
3/15仕掛品8,400賃金8,400
3/31製造間接費2,600減価償却累計額 ほか2,600
3/31仕掛品12,000材料12,000

各社の勘定科目名は異なる場合があります。試験では与件・注記に合わせましょう。

対話で理解しよう — 原価の三要素を使いこなす

現場エピソード:同じ1,000枚生産でも、材料12円/枚、賃金7,200円、製造間接費は機械時間40h×200円=8,000円でした。

ハル:「これを材料費・労務費・経費の3要素で集計し、仕掛品に載せていけば勘定が綺麗に流れますね」

椿先生:「その通り。3要素は工業簿記の集計の型です。労務費の内訳(基本給・割増等)はこちら、経費の多くは製造間接費へ集めます。」

定義・判断の物差し

  1. 今月の支出から、3要素に分類して金額トップ各1を挙げましょう。
  2. 労務費の割増が多い工程があれば、原因(段取り/残業/教育)を1つ推測しましょう。
  3. 経費のうち、翌月すぐ5%削減できそうな項目と手段を書きましょう。

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