繰越商品
決算時点の在庫を示す評価勘定で、貸借対照表では資産として表示します。
この論点は日商簿記3級でよく出題されます。三分法の流れと決算整理の振替を確認していきましょう。
概要
三分法では、期首に前期の在庫を仕入へ振り替え、期末に当期の在庫を繰越商品へ戻すことで売上原価を計算します。
在庫が増減すると利益に直結するため、帳簿と棚卸実績を照合しながら正確に管理することが重要です。
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 期首 | 仕入 | 50,000 | 繰越商品 | 50,000 |
| 期末 | 繰越商品 | 80,000 | 仕入 | 80,000 |
表の見方:期首は繰越商品(資産)をいったん仕入へ移し、期末は当期末の在庫を繰越商品へ戻します。これで当期に売れた分だけが費用に残り、売上原価が求められます。
振替の型
期首と期末で向きが逆になる点を必ず確認しましょう。
仕訳例(5列)
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 期首 | 仕入 | 50,000 | 繰越商品 | 50,000 |
| 期末 | 繰越商品 | 80,000 | 仕入 | 80,000 |
期首は前期の在庫を仕入側へ移し、期末は当期の在庫を繰越商品へ戻すことで当期の売上原価を確定します。
判断のコツ
- 繰越商品は資産です。期末に在庫が残るなら、繰越商品(借方)を立てます。
- 期末の振替は「仕入(費用)から外す」ので、繰越商品/仕入の向きになります。
- 期首は前期の逆仕訳です(仕入/繰越商品)。期首・期末をセットで覚えましょう。
よくあるミス
似ている用語との区別
- 繰越商品:期末時点の在庫(資産)。
- 仕入:当期に買った金額(費用として一度集める勘定)。
- 売上原価:期首+仕入−期末で求める「売れた分の原価」(売上原価)。
クイックリファレンス
| 分類 | 資産(流動資産・棚卸資産) |
|---|---|
| 期末振替 | (借)繰越商品/(貸)仕入 |
| 期首振替 | (借)仕入/(貸)繰越商品 |
| よくあるミス | 期首と期末の向きを逆にする、期首振替を忘れる |
ミニ演習(繰越商品)
1) 決算で期末商品(在庫)80,000円が残っていました。決算整理仕訳は?
答えを見る
(借)繰越商品 80,000 /(貸)仕入 80,000。2) 翌期首に、前期の期末商品80,000円を振り替える仕訳は?
答えを見る
(借)仕入 80,000 /(貸)繰越商品 80,000。3) 期首商品50,000円・仕入150,000円・期末商品80,000円のとき、売上原価はいくら?
答えを見る
50,000+150,000−80,000=120,000円です。関連ページ
- ガイド:売上原価と三分法
- 演習:第1問(仕訳)ドリル