貸倒引当金
貸倒引当金は、売掛金や受取手形などの売上債権が将来回収できなくなる金額をあらかじめ見積り、資産から控除しておく評価勘定です。決算整理で差額補充法により繰入額を計算し、実際に貸倒れが発生したときはこの引当金を取り崩します。負債ではなく、資産のマイナスとして貸借対照表に表示します。
基本情報
| 分類 | 資産の評価勘定(貸借対照表で売上債権から控除するマイナスの資産)。負債ではありません |
|---|---|
| 増えるとき | 決算整理で、差額補充法により当期の繰入額を計上するとき(貸方) |
| 減るとき | 実際に貸倒れが発生し、引当金の範囲内で取り崩すとき(借方)。見積りが過大で戻し入れるときも借方で減少します |
| 代表的な相手科目 | 貸倒引当金繰入(費用)、貸倒引当金戻入(収益)、貸倒損失(引当金を超える部分) |
| 試験での問われ方 | 差額補充法による繰入額の計算(設定額−決算整理前残高)、貸倒発生時に引当金の範囲内か超過かを判定させる仕訳 |
仕訳例
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 3/31 決算整理 | 貸倒引当金繰入 | 10,000 | 貸倒引当金 | 10,000 |
| (期中)貸倒発生 | 貸倒引当金 | 5,000 | 売掛金 | 5,000 |
1行目は、期末売掛金800,000円に貸倒実績率2%を掛けた設定額16,000円から、決算整理前の引当金残高6,000円を差し引いた不足額10,000円を繰り入れる差額補充法の例です。2行目は、翌期に売掛金5,000円が貸倒れましたが、引当金の残高16,000円の範囲内に収まるため、貸倒引当金を取り崩すだけで追加の費用は生じません。引当金の残高を超える貸倒れが起きたときの処理は、貸倒損失で扱います。
混同しやすい語との違い
試験でのよく問われ方
- 差額補充法の計算違い:期末の設定額(見積り)をそのまま繰り入れず、決算整理前の引当金残高を差し引いた「不足額」だけを繰り入れる、という差額補充法の考え方を必ず適用します。
- 仕訳の向き違い:設定時は(借)貸倒引当金繰入/(貸)貸倒引当金、戻入時は(借)貸倒引当金/(貸)貸倒引当金戻入と、借方・貸方が入れ替わる点を整理して覚えます。
- 対象と場面の混同:貸倒引当金は売上債権に限って設定します。また、決算時の見積り計上(繰入)と、実際に貸倒れが発生したときの取崩し・超過額の貸倒損失計上を混同しないようにします。
ミニ演習(3問・即時採点)
Q1. 売掛金期末800,000円・貸倒実績率2%・決算整理前の貸倒引当金残高6,000円のとき、差額補充法による当期の繰入額はいくらですか?(答えを見る)
設定額は800,000円×2%=16,000円です。ここから決算整理前の引当金残高6,000円を差し引いた10,000円が当期の繰入額になります。設定額をそのまま繰り入れないようにします。
Q2. 貸倒引当金の貸借対照表上の性格として正しいものはどれですか?(答えを見る)
貸倒引当金は、売上債権から差し引く評価勘定で、資産のマイナスとして表示します。負債ではありません。繰入額(費用)や戻入額(収益)とは区別します。
Q3. 売掛金20,000円が貸倒れ、貸倒引当金の残高が12,000円であるとき、正しい仕訳はどれですか?(答えを見る)
引当金の残高12,000円を超える8,000円は、貸倒引当金では処理できないため貸倒損失(費用)として計上します。残高の範囲内だけを引当金から取り崩す点がポイントです。
関連
- 関連する用語:引当金繰入/引当金戻入/返品調整引当金
- ガイドで学ぶ・解いて定着:学習ガイド(該当章)/ミニ問題D(引当金:設定と戻入)/ドリル(引当金・固定資産)