小口現金
少額支払い専用の現金を、一定額(定額)で運用する勘定です。設置→支出→補充の流れを、代表仕訳で確認します。関連:現金/普通預金/通信費/消耗品費
この論点は日商簿記3級でよく出題されます。まずは「定額をキープ」「不足分を補充」を型で押さえましょう。
結論(定額資金方式)
- 小口現金は、少額の支払いをまとめて処理するために、現金を定額で前渡しして運用します。
- 支出した分は領収書などで集計し、後日、普通預金などから不足分だけ補充して定額に戻します。
- 月末は残高を数え、証憑と突合してズレ(現金過不足)がないか確認します。
判断のコツ
- 「小口=少額・日常経費」が合図です。高額の支払いは小口ではなく預金決済が基本です。
- 設置は小口現金が増えるので借方です。資金の出どころ(普通預金など)を貸方にします。
- 補充は「支出した費用をまとめて計上」し、普通預金などから出金します(領収書の合計=補充額)。
代表仕訳(設置→補充)
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4/01 | 設置小口現金 | 10,000 | 普通預金 | 10,000 |
| 4/30 | 補充(領収書合計)消耗品費 | 3,000 | 普通預金 | 4,200 |
| 通信費 | 800 | |||
| 旅費交通費 | 400 |
表の見方:設置で小口現金(定額)を作り、補充時に領収書の合計額を費用計上して普通預金から出金します。補充の結果、手元の小口現金は定額に戻ります。
似ている用語との区別
クイックリファレンス
| 分類 | 資産(流動資産) |
|---|---|
| 管理方式 | 定額資金(インプレスト・システム) |
| 設置/補充 | 設置:小口現金/普通預金、補充:各費用/普通預金 |
| よくあるミス | 支払の都度で預金を動かす、領収書合計と補充額が合わない |
ミニ演習(小口現金)
1) 定額10,000円の小口現金を普通預金から設置しました。仕訳は?
答えを見る
(借)小口現金 10,000 /(貸)普通預金 10,000。2) 領収書の合計が8,400円でした。補充の仕訳は?
答えを見る
(借)各費用合計 8,400 /(貸)普通預金 8,400。3) 小口現金の残高が帳簿より200円少ないが原因不明です。いったんどうしますか?