売上高
商品販売による主たる収益で、損益計算書の最上段に表示されます。
出題:第1問(頻出)/優先度:高
判断のコツ
- 収益認識は「商品を渡した時点」。掛売上なら売掛金、即時入金なら現金・預金が相手科目。
- 税抜方式では本体は売上高、税は仮受消費税に分けて記録します。
- 返品・値引は売上返品・売上値引で処理し、売上割引(早期入金の金融的割引)とは区別。
- 相手科目が手形になれば受取手形へ振替、売掛金は減少。
概要
売上高は商品やサービスの提供により発生する収益です。原則として出荷・発送時点で計上します。
簿記3級では掛け売り、値引き、返品、消費税の処理などが問われます。
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4/10 | 売掛金 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
| 4/12 | 現金 | 10,000 | 売上 | 10,000 |
掛売上では代金が未回収のため売掛金(資産)が借方に、収益である売上が貸方に記入されます。現金売上では現金の入金が借方に、売上が貸方に現れます。収益は「発生=貸方」という向きで読むと、場面ごとの相手勘定が選びやすくなります。
仕訳例(5列)
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 4/10 | 掛売上売掛金 代金は後日回収となるため債権(売掛金)が増加 |
120,000 | 売上 | 120,000 |
| 4/12 | 現金売上現金 即時入金のため現金が増加 |
10,000 | 売上 提供により収益を認識 |
10,000 |
| 4/20 | 返品売上返品 売上の控除科目で返品分を減額 |
5,000 | 売掛金 返品分だけ債権を減少 |
5,000 |
金額は右揃え(tabular-nums)で桁をそろえています。行ごとに典型的な増減(掛売上/現金売上/売上返品)を確認しましょう。
似ている用語との区別
- 売上値引:価格調整。売上の控除科目。
- 売上割戻:一定期間の販売実績への割戻。売上の控除科目。
- 売上割引:早期入金に伴う金融的割引。営業外費用として処理。
- 税抜方式:本体は売上高、税は仮受消費税。税込方式と混同しない。
実務TIP: 返品・値引は必ず根拠書類(返品伝票・値引依頼書)を保存し、売上控除と割引(営業外)の混同を避けましょう。税抜方式では売上税額を仮受で集計し、期末に未払消費税へ振替します。
試験で押さえるポイント
- 掛け売りは(借)売掛金/(貸)売上高。
- 現金売上では消費税の処理方法(税抜方式)に注意します。
- 返品・値引は売上返品・売上割戻などで処理し、売上高を直接減らさない形式も押さえておきましょう。
クイックリファレンス
| 分類 | 収益 |
|---|---|
| 表示 | 損益計算書の最上段 |
| 関連勘定 | 売掛金・現金・売上値引・売上返品・仮受消費税 |
| よくあるミス | 消費税を含めたまま売上高に計上する(税抜方式) |
税抜方式では消費税部分を仮受消費税で管理します。
売上の仕訳例
商品を掛けで110,000円(税抜)販売し、消費税10%を上乗せした場合の仕訳です。
(借)売掛金 121,000 / (貸)売上高 110,000 / (貸)仮受消費税 11,000
売上割戻や返品があれば、対応する控除勘定で処理します。
関連ページ
ミニ演習(売上高)
1) 売上高は損益計算書のどこに表示?
答えを見る
収益の最上段。2) 返品があった場合の勘定は?
答えを見る
売上返品や売上割戻など。3) 消費税を含む現金売上の仕訳(税抜方式)は?
答えを見る
(借)現金 / (貸)売上高 / (貸)仮受消費税。売上処理の演習は第1問問題で確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
売上割引と売上値引の違いは?
売上値引は価格調整の売上控除、売上割引は早期入金に伴う金融的割引(営業外費用)です。
税抜方式では何に注意しますか?
売上高と消費税(仮受)を分けて記録します。期末に仮受と仮払を相殺し、未払消費税へ振り替えます。