引当金の横断比較
性質・設定基準・仕訳・表示区分を並べて確認します。
| 名称 | 性質・対象 | 設定基準(例) | 設定/戻入の仕訳 | 表示区分 |
|---|---|---|---|---|
| 貸倒引当金 | 売上債権の将来貸倒見込 | 残高比例法(一般債権)/個別評価(要注意先) | 設定:貸倒引当金繰入 / 貸倒引当金 戻入:貸倒引当金 / 貸倒引当金戻入 |
負債(流動/固定の区分は性質に応じて) |
| 賞与引当金 | 期末時点の未払賞与見込 | 支給対象期間に対応する見積額 | 設定:賞与引当金繰入 / 賞与引当金 | 負債(流動) |
| 製品保証引当金 | 販売後の保証修理見込 | 売上高×保証率 | 設定:製品保証引当金繰入 / 製品保証引当金 | 負債(流動) |
| 返品調整引当金 | 期末在庫に係る売上返品見込 | 関連売上高×返品率 等 | 設定:返品調整引当金繰入 / 返品調整引当金 | 負債(流動) |
| 退職給付引当金 | 期末時点の退職給付見込 | 制度に基づく見積(2級では概説) | 設定:退職給付費用 / 退職給付引当金 | 負債(固定) |
対話で深める:引当金の横断比較
現場設定(会社規模・締め日・回収サイト・税率・契約条項):
- 会社規模:年商10億/従業員30名
- 締め日:月末
- 回収サイト:月末締め翌月末
- 税率:消費税10%
- 契約条項:検収基準/返品14日/遅延利息年3%
現場エピソード(単位:万円・個・% など):
このトピックに関して、期末残高・期間・割合・金額を具体化して必ず数値で捉えます。例:当期の対象額は100〜300、期末残は120、割合は2% 等。
ユイ:数字があると、判断が速くなりますね。つまり「何に対して」「どの率で」「差額か総額か」を決めれば迷いにくい、ということですか?
先生:その通りです。定義と役割をまず言語化し、次に場面を特定、最後に金額の型(基礎×率か、差額か)に当てはめます。上のエピソードも、同じ手順で処理できます。
ユイ:試験で混乱したら、性格→場面→金額の順に自分へ問いかけます。
先生:仕訳を書いたあと、30秒で口頭説明できるかをチェックしましょう。説明できれば再現性があります。
判断基準とチェック
- まず性格(資産・負債・費用・収益)を確定
- 次に場面(発生/決済/見積/評価)を特定
- 金額は「基礎×率」または「差額」のどちらかで算定
- 30秒で説明:何が起きて、どの基礎×率(または差額)で、なぜその相手科目か
- チェック質問:締め日と回収/支払サイトは?請求日と入出金日のズレは?
- チェック質問:税率や非課税・免税の適用は?端数処理は指示どおり?
- チェック質問:契約条項(検収・返品・遅延利息・前受/割賦)はどう指示されている?
共通の着眼点:
1) 見積根拠(率/期間) 2) 設定と戻入の区別 3) 表示区分(流動/固定)。個別ページで仕訳例も必ず確認しましょう。