第10話:受注生産の現場 — 個別原価計算の1日

原価カードに積み上がる材料・労務・間接費。完成と同時に製品へ振り替える一連の流れを、工場の会話でつないでいきます。

講師:今日は個別原価計算の現場を歩きます。最初にすることは何でしょう?

学習者:注文番号ごとに原価カードを作る、ですね。

現場リーダー:その通り。材料の払出や作業時間が発生するたび、該当のカードへ記録します。

ポイント:材料・労務は直接集計、製造間接費予定配賦率配賦します。

学習者:材料の払出は、仕訳だと「仕掛品/材料」ですね。

講師:はい。労務費は「仕掛品/賃金」。どちらも直接費として注番カードに紐づけます。

間接材料や間接工は、いったん「製造間接費」に集め、後で仕掛へ配賦します。

現場リーダー:当社は機械時間を配賦基準にしています。

学習者:つまり「予定配賦率 × 注文の機械時間」で仕掛品に振り替える、と。

講師:その理解で大丈夫です。差異は月末にまとめて処理します(配賦差異)。

学習者:注文Aが完成しました。次の仕訳は…?

講師:「製品/仕掛品」です。原価カードの合計額が、そのまま製品勘定へ移ります。

学習者:完成まではカード単位、完成後は製品棚で管理、という感じですね。

今日のまとめ

用語の確認:個別原価計算予定配賦率差異分析

次へつなげる演習

ミニ問題(工業簿記)の該当セットで、仕訳と勘定の動きを確認していきましょう。