固定資産・資本金・税金

備品や土地の取得・売却、毎月の減価償却、資本金や税金の処理をまとめて押さえます。

この単元で身につくこと

まずイメージ:会社の「外」ではなく「土台」に関わる取引

ここまでの単元は、仕入先・得意先・銀行など、会社の「外」との日常的なやり取りが中心でした。この単元で扱うのは、会社の土台に関わる4つの取引です。まとめて押さえておきましょう。

この単元で扱う4つの取引
取引この単元での扱い
固定資産の取得・売却取得原価の考え方と、土地を売ったときの損益
減価償却見積額を毎月計上する処理
資本金元手の追加・引出し
税金所得税・固定資産税・印紙税・消費税の処理科目

図の見方:4つとも登場回数は多くありませんが、試験では独立した設問として出やすい取引です。1つずつ、使う科目とセットで覚えていきましょう。

固定資産の取得と土地の売却

備品や土地などの固定資産を取得したときは、購入代金だけでなく、引取運賃や設置費、仲介手数料といった付随費用も取得原価に含めて資産計上します。たとえば備品を購入し、設置費を別途支払った場合、購入代金と設置費の合計額を備品として計上します。

固定資産を売却したときは、帳簿価額(取得原価から減った分を差し引いた金額)と売却価額の差額を損益として計上します。売却価額が帳簿価額より高ければ固定資産売却益(収益)、低ければ固定資産売却損(費用)です。簿記初級で固定資産の売却が出題されるのは土地だけです。土地は減価償却をしない資産なので、帳簿価額と売却価額を比べるだけのシンプルな計算になります。

確認:取得原価には付随費用を足します。売却損益は「帳簿価額と売却価額の差額」で、初級では土地の売却だけを扱います。

毎月の減価償却

備品や建物のように使っているうちに価値が下がる固定資産は、その価値の減少分を減価償却費(費用)として計上します。簿記初級では、1年分の見積額を12等分し、毎月その金額を計上する処理を扱います。決算で1年分をまとめて計上するのではなく、月ごとに少しずつ計上する点が特徴です。

減価償却費を計上するときは、固定資産の帳簿価額を直接減らすのではなく、減価償却累計額という科目を使って間接的に管理します。借方に減価償却費、貸方に減価償却累計額を計上する形は、毎月同じです。

確認:減価償却は「毎月」計上し、貸方は現金ではなく減価償却累計額です。

資本金の追加元入れ・引出し

個人商店では、開業時に元手として出した金額を資本金として計上します。事業主が追加で現金などを事業に投入したときは、資本金がそのまま増加します。反対に、事業主が私用のために事業のお金を引き出したときは、資本金がそのまま減少します。

資本金の追加元入れ・引出しは、どちらも資本金を直接増減させて処理する点を覚えておきましょう。他の科目を経由せず、現金などの増減の相手科目はいつも資本金です。

確認:追加元入れは借方が現金など・貸方が資本金。引出しは借方が資本金・貸方が現金などです。

税金の処理

会社が扱う税金にはいくつか種類があり、処理する科目が異なります。給料から差し引く所得税(源泉徴収)は、いったん会社が預かるだけなので預り金(負債)で処理します。固定資産税や印紙税は、会社自身が負担する税金として租税公課(費用)で処理します。

消費税は税抜方式で処理します。仕入や経費の支払時に払った消費税は仮払消費税(資産)、売上時に受け取った消費税は仮受消費税(負債)として、本体価格とは分けて計上します。

確認:所得税(源泉徴収)は預り金、固定資産税・印紙税は租税公課、消費税は税抜方式で仮払・仮受消費税です。

例題で型をつかむ

例題1(土地の売却損益)

帳簿価額800,000円の土地を950,000円で売却し、代金は当座預金口座に振り込まれた。仕訳を示しなさい。

  1. 取引を読む:土地を売却し、代金は当座預金に入金されています。
  2. 差額を求める:売却価額950,000円-帳簿価額800,000円=150,000円(売却価額の方が高い)。
  3. 仲間を決める:当座預金は資産の増加、土地は資産の減少、差額は固定資産売却益(収益)です。
  4. 4列に並べる:借方は当座預金950,000、貸方は土地800,000と固定資産売却益150,000です。
例題1の答え
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当座預金950,000土地800,000
固定資産売却益150,000

ここで迷ったら:売却価額と帳簿価額のどちらが大きいかを先に確認しましょう。売却価額が上回れば売却益(貸方)、下回れば売却損(借方)です。

例題2(毎月の減価償却)

備品について、1年分の減価償却費の見積額が48,000円であるとき、当月分の減価償却費を計上した。仕訳を示しなさい。

  1. 取引を読む:1年分の見積額を、毎月均等に計上します。
  2. 月割りを計算する:48,000円÷12か月=4,000円。
  3. 仲間を決める:減価償却費は費用、減価償却累計額は資産の控除項目です。
  4. 左右を決める:借方は減価償却費4,000、貸方は減価償却累計額4,000です。
例題2の答え
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
減価償却費4,000減価償却累計額4,000

ここで迷ったら:「1年分」の金額をそのまま計上しないよう注意しましょう。初級では12か月で割った金額を、毎月繰り返し計上します。

よくあるミス

建物や備品の売却まで計算しようとしてしまう固定資産の売却はすべて同じように出題されると思い込むミスです。簿記初級で売却損益を計算するのは土地だけなので、他の資産の売却は気にしなくて大丈夫です。
減価償却を1年に1回だけ計上すると思い込む決算のときにまとめて計上するイメージのまま進めてしまうミスです。簿記初級では、1年分の見積額を12等分し、毎月計上する処理を扱います。
資本金の引出しを費用として処理してしまう事業主が私用でお金を使った取引を、通常の費用と同じように考えてしまうミスです。引出しは資本金(純資産)を直接減らす処理であり、費用科目は使いません。

ミニ演習(5問・即時採点)

Q1. 土地の購入時に支払った仲介手数料はどう処理しますか?(答えを見る)

土地の取得原価に含めます。購入代金だけでなく、付随費用も資産の取得原価に含めて計上します。

Q2. 帳簿価額より高い金額で土地を売却したときの差額はどの科目ですか?(答えを見る)

固定資産売却益です。売却価額が帳簿価額を上回った差額を、収益として貸方に計上します。

Q3. 毎月の減価償却費を計上するときの貸方科目はどれですか?(答えを見る)

減価償却累計額です。固定資産の帳簿価額を直接減らさず、控除項目として間接的に管理します。

Q4. 事業主が事業のために現金を追加で出資したとき、貸方科目はどれですか?(答えを見る)

資本金です。追加元入れは資本金を直接増加させて処理します。

Q5. 給料から差し引いた所得税(源泉徴収分)はどの科目で処理しますか?(答えを見る)

預り金です。会社が一時的に預かっているだけの金額なので、負債として計上します。

固定資産は付随費用を含めて取得原価とし、売却は土地のみ帳簿価額との差額で損益を計算します。減価償却は毎月見積額を計上し、貸方は減価償却累計額です。資本金は追加元入れ・引出しとも直接増減させ、税金は所得税を預り金、固定資産税と印紙税を租税公課、消費税を税抜方式で処理します。

3級では、固定資産の売却対象が備品や建物にも広がり、定額法による減価償却の計算まで学びます。3級の「固定資産と減価償却」で確認できます。資本金や税金も、株式会社の資本・配当・法人税等へと範囲が広がります。3級の「株式会社の資本・配当・税金」で確認できます。

対応する演習