前払・未払・前受・未収
決算整理の定番「4兄弟」です。ポイントはお金(支払/受取)と費用・収益(発生)のズレ。期末にズレを整えて、正しい期間損益に直します。関連:前払費用/未払費用/前受収益/未収収益
この論点は日商簿記3級でよく出題されます。まずは「支払/受取が先か」「費用/収益が先か」を見分ける練習をしていきましょう。
結論(4兄弟の見分け)
判断のコツ
- まず期末で、費用/収益が発生しているかを確認します(発生主義)。
- 次に、お金の支払/受取が済んでいるかを確認します。
- 「支払が先」なら前払(資産)へ。「受取が先」なら前受(負債)へ振り替えます。
- 「発生が先」なら未払(負債)または未収(資産)で、未決済分をのせます。
- 商品代金の前払金/前受金は別物です(費用/収益の期間ズレではなく、商品・役務の引渡し前後のズレ)。
比較表(資産/負債と、決算整理の基本形)
| 用語 | 分類 | ストーリー(期末) | 決算整理の基本仕訳 |
|---|---|---|---|
| 前払費用 | 資産 | 支払は済み、費用はこれから | (借)費用 /(貸)前払費用 |
| 未払費用 | 負債 | 費用は発生、支払はこれから | (借)費用 /(貸)未払費用 |
| 前受収益 | 負債 | 受取は済み、収益はこれから | (借)前受収益 /(貸)収益 |
| 未収収益 | 資産 | 収益は発生、受取はこれから | (借)未収収益 /(貸)収益 |
表の見方:期末に「支払/受取」と「発生」のズレがあるとき、そのズレを資産・負債で受け止めて、当期の費用/収益を正しくします。
代表仕訳(決算整理の最小例)
| 日付 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|---|
| 決算日 | 前払支払家賃 | 10,000 | 前払費用 | 10,000 |
| 決算日 | 未払支払家賃 | 8,000 | 未払費用 | 8,000 |
| 決算日 | 前受前受収益 | 3,000 | 受取利息 | 3,000 |
| 決算日 | 未収未収収益 | 2,000 | 受取利息 | 2,000 |
表の見方:左が借方、右が貸方です。前払/未払は「費用を当期へ」、前受/未収は「収益を当期へ」寄せるための仕訳です。
よくあるミス
クイックリファレンス
| 見分けの軸 | 支払/受取の先後 × 費用/収益の発生 |
|---|---|
| 資産/負債 | 前払・未収=資産/未払・前受=負債 |
| 決算整理 | 前払・前受=振替/未払・未収=見越 |
| よくあるミス | 前払金・前受金と混同する/向きを逆にする |
似ている用語との区別
ミニ演習(4兄弟)
1) 12月分の家賃8,000円が未払いのまま決算日を迎えました。決算整理仕訳は?
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(借)支払家賃 8,000 / (貸)未払費用 8,000。2) 来月分の家賃10,000円をすでに前払費用で計上しています。決算整理仕訳は?
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(借)支払家賃 10,000 / (貸)前払費用 10,000。3) 利息2,000円が発生しているのに未受取です。決算整理仕訳は?
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(借)未収収益 2,000 / (貸)受取利息 2,000。決算整理の全体像は決算整理のガイドでつながりを確認しましょう。